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2022年4月
2022年4月 「NOISE【ノイズ】」 1.NOISE【ノイズ】ダニエル・カーネマン、オリヴィエ・シボニ―、キャス・R・サンスティーン 著 村井章子 訳 早川書房 ノーベル経済学賞受賞者のダニエル・カーネマンによる著。人の判断結果を著しくゆがめるエラーを、バイアスとノイズに分け、特にノイズに焦点を当てて論じています。ノイズは著しく不公平で、多くのコストを生みますが、そうしたノイズを分析し、論じ、さらにノイズを削減するための施策まで盛り込んだ極めて実践的な書です。不確実な現実においてアルゴリズムは完全ではないものの、AIのようなものはコスト見合いと言う点でも一定の効果を発揮すると論じています。 先日、都内の有名私立大学病院に行った知人の大腸にポリープが見つかりました。内視鏡で見たところ良性なので、手術は急がないと言われたそうです。その後、他の所見で都内の有名国立病院にかかったところ、そこの病院のA医師はこの大腸ポリープは「面構え」は良いが取りにくいポリープなので内視鏡ではなく普通の手術にしましょうと言い、B医師は「良かったですね。ガンです
2022年5月1日


2022年3月
2022年3月 「企業価値評価」 1.企業価値評価 鈴木一功 著 ダイヤモンド社 私が所属している日本CFA協会では、 「CFA協会リサーチ・チャレンジ」 というイベントを年に1度実施しています。大学生がチームを作り、分析対象チームの株式レポートを英語で作成し、その優劣を競うというコンペです。日本で代表になると、その後アジア地区大会、世界大会と進出していくことになります。 昨年、何を血迷ったのかそのリサーチ・ペーパーのグレーダー(ボランティアです)に手を挙げてしまい、10月~11月上旬の2-3週間ほど死にそうになりました。「血迷った」というのは、職業柄この時期にスケジュールを入れるべきではないということは重々承知していたのに・・・という意味でございます。活動内容は非常に有意義で、学生さんたちの意欲的なレポートを読んで、今一度自分も頑張ろうと決意を新たにするのには十分なものでした。詳しくは割愛するとして、その際学生さんがレポートを書くのにどんな書籍を読んだらいいのかなぁと思い手に取ったのがこの「企業価値評価」。 証券アナリスト試験のテキスト
2022年4月1日


2022年2月
2022年2月 「企業価値向上のための経営指標大全」 1.企業価値向上のための経営指標大全 大津広一 著 ダイヤモンド社 東証の市場改革によりプライム、スタンダード、グロースの3つに区分変更される日がいよいよ4月4日に迫ってまいりました。とはいえ、プライム基準を満たさず身の丈に合っていない企業が300社近く?!あり、企業価値の向上が急務となっています。企業価値とはその企業がこの先どのように成長していくかというエクイティストーリーを織り込んだキャッシュフローから算出されるわけです。そのストーリーを体現する戦略を示したKPI(最重要指標)は、社内外に向けて「僕たちはこの先こうやって企業価値を上げていくんだ!」という選手宣誓だと言えます。 そのKPIをわかりやすく、さらにそのKPIを採用している企業のケーススタディをふんだんに盛り込んで説明したのがこの書。さほど会計やファインナンスの知識がなくても理解できる構造も、幅広い読者を対象としていることをうかがわせます。 このケーススタディに挙げられている一部企業のように、熟考のうえKPIを定めている企
2022年3月1日


2021年12月/2022年1月
2021年12月/2022年1月 「話(WA)」 1.「話(WA)」 リアズ・メグジ 著 斉藤孝 監修 アチーブメント出版 年末にいろいろ本を買ってしまい、何冊も同時に「読み散らかしている」状態なので、12月と1月をまとめてしまいました。 松丸さとみさん訳の爆売れ本「LISTEN」のお隣にあった本。傾聴⇔話術の組み合わせで面白そうだなぁと思って買ってみました。 著者はテレビの司会者を長年務めた後現在は人と人とのつながりを専門とするレクチャラーのようなお仕事を専門にされているみたいです。「話術」のコツを教えてくれる本かと思ったのですが、話し方というよりも、コミュニケーションのコツを教える本だった・・・。 そして、よくよく見るとちゃんとタイトルの横に原題「Every conversation counts. The 5 habits of human connection that build extraordinary relationships」って書いてあるじゃないですか!「話」という漢字に紛らわされた私が悪い・・・。...
2022年2月1日


2021年11月
2021年11月 「シンプルな英語」 1.「シンプルな英語」中山裕木子 講談社現代新書 ご存じ「英語は3語で伝わります」の工業翻訳者、中山裕木子さんの最新著書。こういう本、いっぱい持ってるよねぇ、と思いつつやっぱり買ってしまう。この本は現代新書ということで小さく鞄にも入るので隙間時間用に持ち運びにも便利。 さて、この本の良いところと言えば、何と言っても例題が多く載っているところではないでしょうか。英文を書く場合、まずは文法や語彙といった基本事項をおさえるのはもちろんのこと、いかに使える言い回しの引き出しを多く持っているか、そしてそれを実践で使えるか、ということが非常に重要だと思います。「予算を最大限に活用しなければいけない」(P27 )を英訳せよ、と言われたときに、文法上正しく、受験英語で使ったおなじみのWe must make the most of our budget.という言い方の他に、We must maximize our budget.がさっと引出しから出てくるかどうかが、英文を書く上で幅を広げるポイント。どんな本もそうですが
2021年12月1日


2021年10月
2021年10月 「教養としての経済学 生き抜く力を養うために」 1.「教養としての経済学 生き抜く力を養うために」一橋大学経済学部 編 有斐閣 12月に入ったのに10月に読んだ本を紹介している時点で、ハムスターのような私の生活を露呈しているようで恥ずかしいのですが・・・今月はまず、書店でたまたま見つけたこの一冊から。「教養としての経済学」と言う言葉が、教養のない私の心に妙に刺さり、「どれどれ、ちょっと覗いてみよう」と手に取ってみました。一橋大学の若手教授たちが(若手と言っても初版は2013年なので、今ではすっかり重鎮かもしれません)自分の専門分野について学生に語りかけるような感じで平易な言葉で説明しており、1つのパートがぴったり5分で読み終わるというまさに朝読書のために書かれたような本です。 内容は浅くはありませんが、教科書のような感じです。ただ示唆に富む文章も多く、経済に普段あまり接していない人にもとっつきやすい初心者向けの書物としては良い本です。経済学の単位が3(4段階評価)だったという娘の手にこの後渡る予定。 ★★★☆☆ 「英語が読める
2021年11月1日


2021年9月
2021年9月 「重要証人 ウイグルの強制収容所を逃れて」 1.「重要証人 ウイグルの強制収容所を逃れて」サイラグル・サウトバイ/アレクサンドラ・カヴァーリウス 著 草思社 恥ずかしながら、私は先日まで新疆ウイグル自治区の人権問題と言われてもまったくピンと来ていませんでした。何が起こっているのかも知らず、まったく受け身で、気に入ってくる情報にしか耳を傾けていなかったのです。報道の自由がまだ残されている香港での民主主義の弾圧にはテレビの前で怒りを感じても、情報統制が完全になされているウイグル、モンゴル、チベットといった中国大陸の様子は自分が知ろうとしなければわかりません。 著者は新疆ウイグル自治区で生まれ育ったカザフ女性。彼女は突然再教育施設と呼ばれる強制収容所に教師として連れてこられ、そこで少数民族に対する壮絶な弾圧を目にします。 昨今の中国を見ると、一対一路構想や香港への対応、南シナ海にいきなり島を作ったり、はたまた突然IT企業や塾産業に規制をかけたりと、やっぱり共産主義国なのね、と実感することが多々あります。何かがおかしい。中国は一体何を考
2021年10月1日


2021年8月
2021年8月 「言語学バーリ・トゥード」 1.「言語学バーリ・トゥード」川添 愛著 東京大学出版会 リーガル翻訳・国際法務コミュニティの真栄里孝也さんにご紹介をいただいた本。「とても良い本ですよ」とのことでしたが、良い本を通り越して、もうとにかく面白過ぎる。これだけすいすいと進む朝読書も珍しい。 言語にまつわる真面目なトピックスを、プロレスや芸能やゲームなど超サブカルチャーと絡めながら説明していくスタイルで、もちろん言葉に関係する話はいたって専門的だし真面目なのですが、ところどころに「あーあれね」というような読者とのコンテクストの共有があってついついクスリと笑ってしまいます。プロレスなぞまったく見たことのない、プロレスラーの名前もほとんど知らない私でも面白く感じてしまうのは、文章の上手さなる技なのでしょう。人の書いたものを隠れ蓑に日々文章と接する仕事の端くれを担う者としては、読者をひきつけるこの圧倒的なリズム感はぜひ身につけたい技です。 個人的にはユーミンの「恋人がサンタクロース」の役割担い系に一票なのですが(ちょっとだけネタバレですいません)
2021年9月1日


2021年7月
2021年7月 「教養としての地理」 1. 「教養としての地理」 PHP研究所 山岡信幸 著 朝読書用の本はもっぱら、皆様のおすすめ図書をチラ見してネットでポチポチ購入したもの、積読の中の蔵書、経年劣化のため何度読んでも新鮮に思える「既読本」、書店で気になったものから選んでいます。そういう意味では、5度目の緊急事態宣言が発令中でも書店が開いているのは嬉しい限り。この「教養としての地理」も、有隣堂の「地理フェア」で紹介されていたものです。 「人種と民族のちがいとは?」「気候区分は何に基づいているか?」「日本の食料自給率が低く見えるのは?」といった雑学的なことがサラサラ~っと書かれています。言うなれば、「1週間で完成、地理の基礎」+「朝日小学生新聞」を合わせた感じです。とはいえ、内容が別に子供向けとかいうわけではないので(ただ深くもない)クイズ系番組を楽しむには良いと思います。 著者は東進ハイスクールの地理講師だけあって、重要(と筆者が思う)箇所が緑色で書かれていて、まさしく参考書。云十年前なのに受験生のごとく、どうしてもハイライト箇所だけに目が行
2021年8月1日


2021年6月
2021年6月 「経済指標 読み方のルール」 1. 「経済指標 読み方のルール」 かんき出版 サイモン・コンスタブル/ロバート・E・ライト 著 上野泰也 監訳 高橋璃子 訳 私の業務の半分は、投資銀行やヘッジファンド等が顧客向けに発信しているレポートの日英翻訳です。そうしたレポートの中には毎月さまざまな経済指標が登場するのですが、その経済指標を包括的に説明した本がないなぁと思っていたところに、このタイトルが目につきアマゾンでポチリ。 この本は、個人支出、政府支出、インフレなどの分野に分けて50の経済指標を取り上げています。ただし、1つ1つの経済指標について深く説明するというよりも、例えば「耐久財受注は先行指標であり、耐久財受注が増える局面では企業に対する信頼感が高まっている」のような単純な説明に終始しており、この書籍の目的は、経済指標のインプリケーションを丁寧に説明するのではなく、「この指標が上昇している時は株の買い場だ」といういかに投資に役立つかを重視しているようです。 米国の経済指標に多少の知識のある方であれば、インターネットでデータ提供先
2021年7月1日


2021年5月
2021年5月 「会計×戦略思考」 1. 「会計×戦略思考」 日本経済新聞出版 大津広一 著 今月の朝読書を探していたら日経新聞の下の方にどどーんと広告が出ており、ついつい密林でぽちり。 正直を言えば会計関連の本はかなりあるので、そこに蔵書として1冊追加するのはいかがなものかと考えなかったわけではないのですが、わかりやすく、内容も盛りだくさんでした。 特にユニークなところは、タイトルにある通り(「会計×戦略思考」)会計や財務諸表の読み方に終始していない点です。財務諸表に関する基本的な知識はあることを前提として、「どう読むか」ということに徹底している点が非常に面白い。特に仮説を立てて、それを財務諸表を読みながら検証していくというプロセスは会社の財務諸表という静的な側面だけでなく、事業戦略や経営方針などの動的な側面も捉えるのに大変有効です。 後半はMBAのケーススタディの簡易版を書面で再現しており、こちらも読みやすくわかりやすいものの非常に内容は濃いです。IR関連の翻訳や通訳で特定の会社と関わる場合に、このような視点で事前に会社の財務諸表を読んでおく
2021年6月1日


2021年4月
2021年4月 「資本主義の再構築」 1. 「資本主義の再構築ー構成で持続可能な世界をどう実現するか―」 日本経済新聞出版 レベッカ・ヘンダーソン 著 高遠 裕子 訳 およそ30年ほど前、資本主義そして株主中心主義がバブルをもたらし、世界中が狂乱に湧き上がっていました。そして今、環境破壊、不平等など資本主義に走った末に様々な問題がのしかかり、経済的に疲弊しつつあります。著者はハーバード大学マッカーサー・ユニバーシティのプロフェッサーで、過去15年間にわたり環境問題や社会問題の解決に取り組む企業と共に活動し、その成果や考察を本書にまとめています。 様々な問題に取り組み、それを解決しようとするには「Purpose(存在意義)」主導で、互いに尊厳と敬意を払い活動することが重要だと説く姿勢は、昨今の経済学者たちも同意するところで、株主のみならずさまざまなステークホルダーを含む社会の構築が目指す姿だとしています。 では、具体的に何をしたらよいか?著者や最終章で、変化を起こす6つのステップとして、 1.自分自身の目的・存在意義(パーパス)を発見する 2.今
2021年5月1日


2021年3月
2021年3月 「地図で読むアメリカ」 1. 「地図で読むアメリカ」 朝日新聞出版 ジェームス・M・バーダマン 著 森本豊富 訳 本書はアメリカを10地域(ニューイングランド地域、メトロポリタン・ニューヨーク地域、アパラチア地域、サウス地域、インダストリアル・ノース地域、ハートランド地域、アウトウェスト&アラスカ地域、パシフィック・ノースウェスト地域、サウスウェスト地域、ハワイ地域)に分けて、それぞれの歴史や生活、宗教、経済状況などを簡潔に説明しています。その成り立ちや民族、宗教、それが今の経済情勢にどう影響しているかなどということが非常に分かりやすく説明されています。 大統領選の時は、「ラストベルト」や「福音派」など耳にしましたが、その時期がすぎるとあまりアメリカのまだ模様に焦点が当たる機会は多くないので、1冊手元に置いておくと便利かもしれません。アメリカの中学生向け社会の教科書みたいな感じだと勝手に思っています(アメリカの中学生向けの社会の教科書見たことないので・・・・)。高校、大学向けテキストではないところが★一つ欠けた理由。 ★★★★☆
2021年4月1日


2021年2月
2021年2月 「エクストリーム・エコノミー」 1. 「エクストリーム・エコノミー」 ハーパー・コリンズ・ジャパン リチャード・ディヴィス 著 依田光江 訳 FTとマッキンゼーが選ぶ2019年のベスト・ビジネス書にノミネートされた一冊。経済学が長年答えを出せなかった問題や見逃してきた泥臭い人間的な側面を、津波の被害を受けたインドネシアのアチェや難民キャンプ、刑務所などの「極限経済」の中に見いだしています。 人間は極限状態に置かれるとレジリエンスを発揮します。戦後の日本はまさにこうしたエクストリームな状況からの奇跡の復興だったわけです。戦後75年も経って極限状態が解消されたいま日本はどうでしょうか。ここ数年、人が主体的に使命感をもって活動する社会を形成することで、いかにレジリエンスで豊かな経済を作るかということが経済学のテーマとなってきました。おりしも東日本大震災から10年の節目を迎えますが、あのエクストリームな状況を東北や日本はうまく生かすことができたでしょうか。切れの良い訳も推奨。 ★★★★★ 「カンマの女王」 2.「カンマの女王」 柏書
2021年3月1日


2021年1月
2021年1月 「テクノロジーの世界経済史」 1.「テクノロジーの世界経済史」 日経BP カール・B・フレイ 厚さ4.5センチの本で、読み始める前は1日5分ではいったいいつ終わるのだろう?と思いましたが(参考資料が10分の1を占めていることもあり)訳が素晴らしいため、すいすいと進みました。テクノロジーが人間を幸福にしてきたか否かを産業革命前からの歴史を紐解きながら丹念に拾っていくもので、最終的には技術と社会的・経済的格差との関係性を解き明かそうとしています。GAFAや新型コロナウイルスの感染拡大により一気に進むDXが、これからの社会に与えるインパクトを考える上でも役立ちます。★★★☆☆ 「日本人のための日本語文法入門」 2.「日本人のための日本語文法入門」講談社現代新書 原沢伊都夫 先日の駒宮俊友さん主催のZoomセミナーでご紹介があり、勢いで注文して積んでおいたのですが、1日5分でも2週間ほどで読破。著者の原沢氏の言う通り、私たちは体系的に日本語の文法を学んでこなかったことを読み始めてすぐに痛感します。目からうろこというか、「へー、日本語の文法
2021年2月1日
COLUMN
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