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第40回 make up ground(回復する、差を縮める)
第40回 make up ground(回復する、差を縮める) ネイティブでない人間は、なかなか名詞が組み込まれたイディオムというものにピンとこないことがあるのではないかと思います(私だけか)。このgroundもすぐさま「グランド」=地上と連想してしまうのが悲しいかな、勉強不足の人間の性。ただ、実際の用法では、「立場、見地、地歩」「根拠、論拠、原因」「問題、分野、領域」「背景」などかなり多岐にわたり、ちょっと訳しにくいと思ったことはあるのではないでしょうか。そんなgroundがくっついたmake up groundが本日の言葉です。 Make up groundのgroundは「立場、支配域」のような意味で、立場を回復する、復活させるという意味になります。 Tesla’s stock had its worst day since 2020 on Monday, tumbling 15%. The stock made up some ground Tuesday. 試訳:テスラ株は3月10日、(前日比で)15%下落し、2020年以降で最もひ
2025年5月10日
第39回 shell out, pay through the nose, cost an arm and a leg (大枚を払う)
第39回 shell out、pay through the nose、cost an arm and a leg (大金を払う) 日本製鉄によるUSスチール買収にトランプ政権が本格的に横やりを入れてきました。大型投資をするのであれば子会社化して支配下に置かなければ意味がないと言うのは経営陣の言い分。141億ドル(約2兆円)もの大金を支払うのに支配権がこの先も米国政治に左右されるのは、会社としては許されないことでしょう。さて本日の言葉は、「大金を払う」= shell out です。 Shellは名詞では貝殻、骨組み、弾薬などの意味がありますが、動詞では~から脱出する、砲撃するなどの意味で使われます。特にshell outになると(しぶしぶ)大金を払う、寄付をするという意味になります。 こちらは物価高騰が米国の消費者の重荷になっているという記事です。 With money in their pockets and prices surging, customers during the pandemic shelled out as much
2025年2月16日
第38回 Roll over (借り換える、言いなりになる)
第38回 Roll over (借り換える、言いなりになる) 今年も残り1カ月余りとなりました。この時期になってくると、旧NISA口座ではロールオーバーという年末処理を忘れないようにしなければ!と緊張感漂っていましたが、新NISAではこの処理が不要になりました。投資期間の恒久化は、資産運用立国を標榜する上でも非常に重要な改革の一つです。 さて、本日の言葉はこのroll over。金融関連の方にはお馴染みの言葉ですが、一般的によく使われる言葉でもないので取り上げることにしました。 投資関連の人が真っ先に思い浮かべる意味は「借り換える」ではないでしょうか? High interest rates also make it harder to roll over bonds when they come due, forcing governments with approaching payment deadlines to make cuts or raise taxes for money to pay not only the interes
2024年12月2日
第37 回 Drive home(納得させる、核心をつく)
第37回 Drive home (納得させる、核心をつく) なかなか上がらないリスクニング力をつけるために、最近シャドーイングを始めました。最初はシャドーイングでリスニング力がつくの?と半信半疑でしたが、2カ月ほど続けてみるとこれがなかなか良い。自分の発語を毎日聞くのはやや痛いのですが、これまでさまざまなリスニング勉強の中ではかなり効率的だと感じています。 一方、聞きっぱなしでさほど効果を感じないPodcastですが、これは情報収集にはそれなりに役立っています。ここ1年はBBC podcastとBloomberg Businessweekをその日の気分とタイトルでどちらかを選んで聞いています。BBCはニュースなので比較的聞きやすい一方、Bloombergはインタビューやその日の相場のラップアップが中心です。また早口でまくしたてるうえニュース朗読ではないのでやや聞きにくいなど、さまざまなトラップが待ち受けています。 そのBloombergのPodcastの最後のコーナー、Drive to the close(その日の相場を語るコーナー)の前に流れ
2024年9月18日
第36 回 Mint (鋳造する、作り出す、大量の・・・・ほか)
第36回 Mint (鋳造する、大量の・・・・ほか) 先週トランプ前大統領の狙撃事件があり、民主党大会では冒頭いつになく穏やかなトランプ氏が逆に不穏に見えました。さて、本日の言葉はその関連記事の中で目にしたMintです。 Mintは金融関連では「鋳造する」という言葉でおなじみの用語です。ちなみに日本の造幣局は「Japan Mint」と言います。同局のHPを見るとAbout Mint, Know Mint, Enjoy Mintとなんだかサウンド的に軽やかなヘッドラインが並んでいますのでご興味のある方はこちらをどうぞ。 https://www.mint.go.jp/eng さて、本来の「鋳造する」という意味以外にも「作り出す」(似てはいますが・・・)という意味でも使われます。 こちらはアルケゴス・キャピタルというヘッジファンド創業者のビル・ファン被告が詐欺行為で有罪判決を受けたときの記事です。 Bill Hwang, the founder of Archegos Capital Management, was convicted Wednesd
2024年7月21日
第35 回 Square (手仕舞う 他)
第35回 Square (手仕舞う 他) 年初から急ピッチで日本株式が上昇していますね。 決算期末でバタバタしていたこともあり、気が付けば桜の季節となりいささか焦っております。 さて、本日の言葉はSquareです。真っ先に思い浮かぶのは「四角」とか「平方メートル(suare meter)」ですが、それ以外にもさまざまな場面で遭遇します。特に金融用語という形で使われていないことも多いのですが、ニュースやレポートなどでも時々出てくるのでご紹介しておきます。 まずは最も一般的な使い方であろうと思われる「~の意見に同意(一致)する」。 以下の1文は、CFOが最近の経済指標と実態経済との乖離にどう折り合いをつけるかという記事からの一説です。 Chief financial officers are looking to square a strong U.S. economy with consumer sentiment showing signs of strain—and trying to determine whether it signals
2024年3月11日
第34 回 Labor hoarding(人材の囲い込み、雇用保蔵)
第34回 Labor hoarding(人材の囲い込み、雇用保蔵) 気がつけば2023年も最後の月。米国の株式指数は史上最高値をつける状況が続いています。 さてその米国経済を占ううえで、目下最も重要なのが雇用市場です。そこで今月の言葉はhoardingを取り上げます。 リーダーズ英和辞典でhoardingをひくと、最初に「秘蔵、退蔵、死蔵、貯蔵、貯蓄、買いだめ、貯蓄物」とありますが、2つ目に「(建設現場などの)板囲い、広告版、掲示板」とあります。「板囲い」という言葉になじみがなかったのですが、Oxford Advanced Larner's Dictionary の2つ目に「 a temporary fence made of boards that is placed around an area of land until a building has been built」とありました。工事に入る前の更地を囲んでいて看板に「○○様邸宅」みたいなのが書いてある、あれのことらしいです。 最近、労働市場でlabor hoardingという行為が見
2023年8月8日
第33 回 Hung deal(ハング・ディール)
第33回 Hung deal(ハング・ディール) イーロン・マスクがTwitter買収に当たって銀行から借り入れた融資の販売に、銀行が苦戦しているというニュースがありました。 本日はその中のhung dealsという言葉を取り上げたいと思います。 Also last year, Barclays was among a group of banks that agreed to fund Elon Musk’s takeover of Twitter Inc., in what became one of the biggest so-called “hung deals” as banks were unable to sell on their debt commitments. https://www.wsj.com/articles/barclays-barc-q4-earnings-report-2022-beea1163?mod=Searchresults_pos1&page=1 試訳:また昨年、バークレイズはイーロン・マスク
2023年2月26日
第32 回 go south(下落する)、go north(上昇する)
第32回 go south(下落する)/ go north(上昇する) 日本、海外を問わず、証券関連の言葉には「なんでそういうの?」と疑問に思う用語や言い方をよく目にします。新卒で入った会社のロゴマークがブル(水牛)でしたが、就職面接のときになんでかなぁ?と思った覚えがあります。ウォールストリートの入口に大きな雄牛のブロンズ像がありますのでご存じの方も多いかと思います。bull は角を上に上げるため「上昇相場(bull market)」を表し、熊は立ち上がって手を下に振り下ろすので「弱気相場(bear market)」を表しますので、そこから取ったものです。 余談ですが、昔べ〇・スターンズという証券会社がありました。リーマンショックの頃になくなりましたが、これはbearではなく人の名前です。縁起でもない名前だからなくなったわけではありません。 さて、本日のgo south と go northは相場用語という訳ではないかもしれませんが、「南に行く=↓=下落」「北に行く=↑=上昇」から主に相場の動向を示す時に使います。 こちらは2022年6月3日の
2022年10月17日
第31 回 head fake (だまし、フェイント)
第31回 head fake (だまし、フェイント) ジャクソンホール会議でのパウエル議長の9分間の講演が、市場を揺るがしています。 イエローストーン国立公園などがあるこの地で毎年夏に行われる会合は、もともとは世界中から経済関係の偉い人が、クラフトビールを傾けてハイキングやカヌーなどを楽しみつつ、経済の理論や長期的展望をわいがやする場だったそうです。しかし、8月はFOMCが開催されないこともあり、最近ではここでの発言が市場参加者の少ない夏の相場を動かす一つの材料になっています。 さて、本日の出会った言葉は「head fake」。 最近実際に出会った出典をここでご紹介するわけにはいかないのですが、head fakeはいわゆるバスケとかでいう「フェイント」のこと。 “US equity markets are at a critical tipping point," quant strategist Masanari Takada wrote in a January 10 note. Gear up for another head fake ,
2022年8月29日
第30 回 toppish(上値の目途・節目、抵抗線)
第30回 toppish(上値の目途・節目、抵抗線) 今年は異常に早い梅雨入りだった関東地方ですが、気がつけばいつのまにやら梅雨明けの様相です。 米連邦準備理事会(FRB)も当初はインフレは一時的との姿勢だったのですが、気がつけば超強硬なインフレファイターへと早変わり。人の心は変わりやすいものです(秋ではなく梅雨ですが・・・)。 さて、そんな中で最近よく目にするようになった言葉がsoftish landing(ソフティッシュ・ランディング)。これまでよく耳にしていたsoft landing(ソフトランディング)が「高成長を安定へ導く過程で、不況などを招かないように徐々に成長速度を低下させること。また、そのようなな経済政策。軟着陸」(出所:コトバンク)であるのに対して、多少の景気減速や資産価格の下落があっても、物価を抑える」という中央銀行の姿勢を示す言葉として注目されています。 https://kotobank.jp/word/%E3%82%BD%E3%83%95%E3%83%88%E3%83%A9%E3%83%B3%E3%83%87%E3%82%
2022年6月27日
第29 回 Depeg(連動が外れる、連動しなくなる)
第29回 Depeg(連動が外れる、連動しなくなる) 年初からいろいろな市場が大きく変動していますが、ここにきて暗号資産の価格が急落しています。 特に法定通貨の裏付けがあることを売りにしていたステーブルコインのご凋落が激しいです。 先週は、テラUSDが急落し、米ドルとの連動を維持してきたテザーも下落しました。 そこで今回は、この連動が外れることを意味するdepegを取り上げます。 国内外問わず、言葉は時代やその時の情勢と共に変わったり、新しい言葉ができたりするものですが、pegが「連動する」なら、de+pegはもちろんその反対で「連動しなくなる、連動が外れる」を意味するわけです。いちいち The largest stablecoin, Tether, has broken its peg to the dollar. と言わなくても Tether has depegged to the dollar. で済むわけです。文字数カット!省エネ。ということで、ウェブサイトを見ていてもよく使われているようです。 Another coin called F
2022年5月16日
第28回 True up(調整する、修正する)
第28回 True up (調整する、修正する) ご無沙汰しております。 決算やらウクライナやら通常の業務と違う事象が降り注いできた2月、3月。気になる言葉がなかったわけではなく、単に気がついていてもアップする暇がなかったという状況でした。 さて、本日の言葉はTrue-up。技術系翻訳の方にはおなじみかもしれませんが、「調整する」という意味合いで使われることが多いようです。 We use a special tool to true up the wheel of the lathe. 特別な機器を使って旋盤のホイールを調整した。 一方、会計でもtrue upはよく使用されます。 The accountant trued up several entries to reconcile discrepancies in our balance sheet. 会計士はバランスシートの差異を調整するために複数の仕訳を修正した。 < https://idioms.thefreedictionary.com/true+up > 2つ目の文章ではtrue..
2022年3月14日
第27回 Belly (膨らんだ部分、パー近辺のクーポン)とwing
第27回 Belly (膨らんだ部分、パー近辺のクーポン)とwing 明けましておめでとうございます。今年もよろしくお願い申し上げます。 しばらくこちらのページの更新が止まっておりました。気になる言葉がなかったのではなく、あまりにわからなくて調べるのに時間がかかったというだけのこと。それがきょうの言葉、Belly とWingです。初めに申し上げておくと、今日の言葉は債券用語なのであまり関係ないわとおっしゃる方はスルーを。 今回手こずったのは「wing」の方です。 Bellyは債券イールドカーブの説明では割とよく見る表現で、文字通り「腹」のように膨らんでいる部分を指します。順イールドの場合はカーブが右肩上がりなので、例えば中期ゾーンが売られたりするとそのカーブの真ん中の部分が盛り上がります。これを「腹」と言うわけです。では日本語の訳としてはどうするかですが、「イールドカーブの膨らんだゾーン」とか、具体的にカーブの形状が盛り上がっている年限を指して「イールドカーブのXXX年限ゾーン」とかいう訳を当てていることが多いのが現状です。さすがに「腹」はどう
2022年1月14日
第26回 Sausage-making(政策策定)
第26回 Sausage-making(政策策定) 一昨日、日本で新たな自民党総裁が誕生しました。今月中には衆院議員選挙が公示される可能性が高く、コロナ下で政治の秋になりそうです。 一方、誕生から比較的高い支持率を保ってきたバイデン政権ですが、ここにきてアフガン対応をめぐり支持率が急低下、目玉のインフラ法案の可決が危ぶまれており、アメリカも政治の秋到来です。 さて、本日の言葉は「sausage-making」。このアメリカ議会での混とんとした状況を伝える記事の中で出てきました。 “We’re in the middle of it right now. It’s messy,” said White House press secretary Jen Psaki. “ The sausage-making on Capitol Hill, policy-making is messy.” < https://www.wsj.com/articles/infrastructure-bills-fate-uncertain-heading-into
2021年10月1日
第25回 Stopped out(強制決済する、損切する)
第25回 Stopped out (強制決済する、損切する) 見慣れない言葉に出会ったとき、最初にすることは辞書を引くことですが、動詞に前置詞もしくは副詞が組み合わさった「句動詞」の場合、辞書を引いてもなかなかぴったりくる訳に出会えないことがあります。今回の「Stop out」もしっくりくる訳語が見つからず気持ちが悪く、ネット上を探し回りました。 The SAR is a technical indicator plotted on a price chart that will occasionally intersect with the price due to a reversal or loss of momentum in the security in question. When this intersection occurs, the trade is considered to be stopped out , and the opportunity exists to take the other side of the
2021年9月16日
第24回 Hockey stick(急騰)
第24回 Hockey stick(急騰) 株式用語には不思議な言葉がたくさんあります。 「たこ足配当」とか「塩漬け」とか最初に聞いたときはなんのこっちゃー?と思ったものですが、言われてみれば「説明系用語」なので画像を脳内で変換をしてみるとなるほどと納得できます。 ちなみに「たこ足配当」は、たこは餌がないと自分の足を食べてしまうというところから、配当原資がないのに資産を取り崩したりしながら配当することを言います。 また「塩漬け」は、料理において腐りやすい食べ物を長期保存や味付けのために食塩に漬けておくところから、上値で買った後株価が下落して含み損を抱えて、売るに売れなくなった状態を言います。 前置きが長くなりましたが、本日の言葉はHockey stickです。 こちらも初めて見たときはなんのこっちゃー?と思いましたが、ホッケーのスティックを思い描けばそれほど難しいこともありません。ホッケースティックの先のように急激に上昇する状態を指します。「うなぎ上り」とも言えるかもしれませんが、「うなぎ上り」は良い事の時にしか使わないような・・・・。一方ホッケ
2021年8月29日
第23回 Greenium (グリーンプレミアムが乗っている)
第23回 Greenium (グリーンプレミアムが乗っている) 新しい言葉を目にすると、つくづく言葉は生きているなぁと思います。単なる主観ですが、日本語では主に新しい言葉・用法を作る中心が10代の若者である一方、海外ではメディアや業界中心に新たな言葉が生まれている気がします。Brexitなどはその典型例ではないでしょうか。 昨今この言葉を見かけない日がないくらい一躍金融・社会の中心に躍り出たESGですが、社会的責任投資(SRI)はそもそも宗教上の信念などに基づいて、ある一定のセクター(アルコール、たばこ、武器等)を排除するという投資手法からスタートしました。特定のセクターを排除する投資手法が一般的だったため、リターンがベンチマークに劣りがちで、最初の頃は「SRIやESG投資は儲からない」と頑なに思われていました。 ところが、投資商品や戦略サイドでのイノベーションに加えて、企業の社会的責任が声高に叫ばれるようになると、こうした社会的責任を果たす企業の方がクオリティが高いと評価されるようになり、ESG投資のパフォーマンスが通常の投資に劣らないようにな
2021年8月17日
第22回 Agnostic (~に依存しない、どちらかに偏らない)
第22回 Agnostic (~に依存しない、どちらかに偏らない) 再び緊急事態宣言に突入。まさかのロックダウンまで議論され始めました。オリンピックも観戦できないのに、負担ばかり強いられる・・・・なんだか割の合わないことばかりが続きます。神はいないのか! ということで、本日の言葉は ”Agnostic”。 さて、”Agnostic”を辞書で引くと、判を押したように「不可知論の」「不可知論者の」と出てきますが。そもそも「不可知論」ってなんでしょう。国語辞書を引くと 精選版 日本国語大辞典:「哲学で、ある種の主題の認識が人間には不可能であるとする認識説。また、神学で、人間には神を認識することはできないとする宗教的認識説」 ぜんぜんわかりません・・・・ 広辞苑:「意識に与えられる感覚的経験の背後にある実在は論証的には認識できないという説・そういう実在を認める立場と、その有無も不確実とする立場とがある」 やっぱりわかりません・・・・・ 困っていろいろ見たところ、こちらのサイトにこのような解説がありました。 「~ものごとの本質や実在の根拠のようなものは、人
2021年8月2日
第21回 Economic Cycleってなんだろう?(その1)
第21回 Economic Cycle(景気サイクル)ってなんだろう?(その1) 全米経済研究所(NBER)は7月19日、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う景気後退は2020年4月が「谷」となり、今回の後退局面は2カ月と過去最短になったと発表しました。ここ2年ほど「Ecnomic Cycle」という言葉が頻出しましたが、果たして景気サイクルとは何でしょうか? アメリカの景気サイクルを決める(ここからが景気拡大期とか、ここからが景気後退期とか)のは経済データを収集している政府機関ではなく、このThe National Bureau of Economic Research(全米経済研究所=NBER)という民間の研究機関です。その中にあるBusiness Cycle Dating Committee(景気循環日付判定委員会)が、いつから景気拡大期に入ったとか、ここまでが景気拡大だった、とか判定します。この委員会は景気サイクルをretrospective(遡及的)に、つまり、景気転換点の確定を完全に判定できるようになってから後付けで「景気のピークはここ
2021年7月20日


2025年11/12月
2025年11/12月 1.「資本コスト経営のすすめ」 野口真人 著 日本経済新聞出版 東証のPBR引上げ要請(正確に言うと、そんな名前で要請を出したわけではありません) から早3年。当初は自社株買いや増配といった財務レバレッジの引き上げ策ばかりが行われていましたが、最近は、抜本的な事業改革に踏み出す企業が増えてきました。IR界隈にいると「資本コストの引き下げ」という言葉はちょっと聞き飽きた感があります。そんな中で今年4月に出た本書。著者はファイナンスをこれでもかというくらいわかりやすく説明する名手の野口真人さん。ということでこの本の薄さでどこまでわかりやすく書いているのか気になって買ってみました。 本書は資本コストとは無縁の経営者・経営企画部を対象に、具体的な開示上の改善案まで提起することを目指したものですが、さすがにちょっと駆け足すぎる感じを受けました。たしかにわかりやすいのですが逆に丁寧さに欠けるというか、対象読者の知識レベルを初級に設定した割には不親切なような気がします。前半の知識編だけでも一冊分の本にした方がよかったような・・・


2025年10月
2025年10月 「パンチラインの言語学」 1.「パンチラインの言語学」川添愛 著 朝日新聞出版 言語学者、川添愛さんの新著。タイトルからして絶対「バーリトードゥ」系だろうと推察したので、最近地域図書館に追加された「LINEで買ってほしい本のリクエスト」機能を使って申請してみました。するとあっという間に図書館が購入してくれたので予約一番、新品本を読むことができました。地方税を払っているかいを感じた瞬間です。ふるさと納税で地方の産物をもらうばかりが税金の使い道ではないなぁとつくづく感じました。 さて、パンチラインとは、いわゆる名セリフを指すらしいです。名セリフと言われても、どうも著者と指向が違うらしく、取り上げられたパンチラインの半分くらいしか知らなかったわけですが、それはさておき軽い読み物としてはやはりおもしろい。「めざせ、かっちゃん、甲子園」が七五調でゴロが良いとか、末尾につく「よ」を考察してみたりだとか、普段はあまり気にしていない点を掘り下げているところにオタク感がちりばめられています。翻訳などというオタク域の仕事をしている人間には(私のオ


2025年9月
2025年9月 「論理的思考とは何か」 1. 「論理的思考とは何か」 渡邊雅子著 岩波新書 英文を書くことを生業にしている者は、ロジカルシンキングに基づいて文章を書くことが至上命題とされています。ライティングの講座では必ず、主張ー本論ー結論といった構造を取ること、パラグラフごとにその型を踏襲することを嫌と言うほどやらされます。しかし、この型は米国を中心とした経済効率性の達成を目的としたレトリック(人を説得する技術)に基づいており、アングロサクソン系のライティングが中心の世界でのみ、これが唯一無二のレトリックだと思われているに過ぎないらしいのです(知らなかった!)。 応用言語学者のカプランによれば、読み手が「論理的である」と感じるには統一性と一貫性が必要であり、「読み手」がそう感じるかどうかはその文化や社会の中で馴染んだパターンに落とし込む必要があるそうです。 筆者はそのパターンをアングロサクソン系のエッセイ、フランス系のディセウタシオン、イラン系のエンシャ―、日本系の感想文の4つに分けて説明しています。論理的思考が目的に応じて形を変えて存在す
COLUMN
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