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2025年11/12月
2025年11/12月 1.「資本コスト経営のすすめ」 野口真人 著 日本経済新聞出版 東証のPBR引上げ要請(正確に言うと、そんな名前で要請を出したわけではありません) から早3年。当初は自社株買いや増配といった財務レバレッジの引き上げ策ばかりが行われていましたが、最近は、抜本的な事業改革に踏み出す企業が増えてきました。IR界隈にいると「資本コストの引き下げ」という言葉はちょっと聞き飽きた感があります。そんな中で今年4月に出た本書。著者はファイナンスをこれでもかというくらいわかりやすく説明する名手の野口真人さん。ということでこの本の薄さでどこまでわかりやすく書いているのか気になって買ってみました。 本書は資本コストとは無縁の経営者・経営企画部を対象に、具体的な開示上の改善案まで提起することを目指したものですが、さすがにちょっと駆け足すぎる感じを受けました。たしかにわかりやすいのですが逆に丁寧さに欠けるというか、対象読者の知識レベルを初級に設定した割には不親切なような気がします。前半の知識編だけでも一冊分の本にした方がよかったような・・・
7 日前


2025年10月
2025年10月 「パンチラインの言語学」 1.「パンチラインの言語学」川添愛 著 朝日新聞出版 言語学者、川添愛さんの新著。タイトルからして絶対「バーリトードゥ」系だろうと推察したので、最近地域図書館に追加された「LINEで買ってほしい本のリクエスト」機能を使って申請してみました。するとあっという間に図書館が購入してくれたので予約一番、新品本を読むことができました。地方税を払っているかいを感じた瞬間です。ふるさと納税で地方の産物をもらうばかりが税金の使い道ではないなぁとつくづく感じました。 さて、パンチラインとは、いわゆる名セリフを指すらしいです。名セリフと言われても、どうも著者と指向が違うらしく、取り上げられたパンチラインの半分くらいしか知らなかったわけですが、それはさておき軽い読み物としてはやはりおもしろい。「めざせ、かっちゃん、甲子園」が七五調でゴロが良いとか、末尾につく「よ」を考察してみたりだとか、普段はあまり気にしていない点を掘り下げているところにオタク感がちりばめられています。翻訳などというオタク域の仕事をしている人間には(私のオ
2025年11月24日


2025年9月
2025年9月 「論理的思考とは何か」 1. 「論理的思考とは何か」 渡邊雅子著 岩波新書 英文を書くことを生業にしている者は、ロジカルシンキングに基づいて文章を書くことが至上命題とされています。ライティングの講座では必ず、主張ー本論ー結論といった構造を取ること、パラグラフごとにその型を踏襲することを嫌と言うほどやらされます。しかし、この型は米国を中心とした経済効率性の達成を目的としたレトリック(人を説得する技術)に基づいており、アングロサクソン系のライティングが中心の世界でのみ、これが唯一無二のレトリックだと思われているに過ぎないらしいのです(知らなかった!)。 応用言語学者のカプランによれば、読み手が「論理的である」と感じるには統一性と一貫性が必要であり、「読み手」がそう感じるかどうかはその文化や社会の中で馴染んだパターンに落とし込む必要があるそうです。 筆者はそのパターンをアングロサクソン系のエッセイ、フランス系のディセウタシオン、イラン系のエンシャ―、日本系の感想文の4つに分けて説明しています。論理的思考が目的に応じて形を変えて存在す
2025年10月27日


2025年8月
2025年8月 「会計リタラシーで見えないお金が見えてくる」 1.「会計リタラシーで見えないお金が見えてくる」 渡辺俊之著 総合法令出版 ほかの本を検索していて、なんとなく気になって借りた一冊。元公認会計士協会の副理事である著者のエッセイをまとめた本ですが、予想外に(失礼)面白かった。最近売れている本に「役所のしくみ」(久保田章市 著、日経プレミアム)がありますが、公会計と一般会計が大きくかけ離れているということは一般人はなかなか知り得ない。その辺りも面白おかしく書いてくれているのはとても興味深いです。 著者の軽妙な書きぶりにサラっと読めてしまいますが、なかなか奥深い内容。P206 では監査人に求められるものとして「統制環境の中核に据えられるものは、監査論的に考えても、トップの誠実性や倫理観をおいて他にはないのです。・・・・・・つまりマン・ツー・マンコミュニケーションが重要であり、経営者へのインタビューが重要な監査手続きとなり、「人間観察力」が監査人自身に問われるのです」とありますが、まさしくIRミーティングでも求められるのは人間観察力。数字
2025年9月1日


2025年7月
2025年7月 「金利の歴史」 1.「金利の歴史」 平山賢一 著 中央経済社 去る5月29日に行われた日本CFA協会主催「Japan Investment Conference 2025 資産運用立国の実現に向けて」において「3つの壁に直面する個人投資家」というタイトルで本書の著者の平山さんが講演をされました。本書によると、18世紀のオランダの低金利と日本の状況が非常に酷似しているらしい。 私が証券会社に入った1994年当時、すでに金利低下のトレンドにありましたが、国債でも5%くらいの表面利率のものが転がっていました。そこから30年、実にマイナス金利という異次元にまで突入し、現在再び国債、金利市場に注目が集まっています。ちょうど7月21日に行われた参議院選挙で自公の与党連合が過半数割れをして、右派勢力の主張する政策が国債市場を揺るがしかねない状況も考えられます。現時点では懸念するほどではありませんが、今後も金利に対する注目は高まることが予想されます。株式に比べると個人投資家はあまりなじみがない債券ですが、すべては金利が左右するのが金融市場。改
2025年8月1日


2025年6月
2025年6月 「会社と株主の世界史」 1.「会社と株主の世界史」中島茂 著 日本経済新聞出版 企業法務一筋45年の著者が送る、会社法や株主の歴史の本。超ニッチな分野を扱った本ですが、実に面白かった。私、三菱UFJフィナンシャル・グループの株主なのですが、今年の株主提案は本当にひどかった。「フィナンシャル・ホールディングス」の間の「・」を取れだの、青汁王子やホリエモンにNHK党の立花氏を社外取にしろだの、まあひどい。なぜこんなレベルの株主提案を、招集通知として何万人の株主の手元に書面で届けなければいけないのか実に不可解だったのですが、この本を読んですっきり。会社法の抜け穴というか、欠点ですね。 そもそも株式会社は、事業を行うために国王から特権が与えられ、それに基づいて名士・貴族たちが出資したところに起源があります。つまり、持てる者である貴族や名士たちが、社会の役に立ちたいと思って会社に出資をして事業を行った「ノブリス・オブリージュ」の精神がそもそも根付いた概念なのです。だから、東インド会社の出資者たちは無限責任を負っていました。高い社会的地位
2025年7月1日


2025年5月
2025年5月 「格差の”格”って何ですか?」 1.格差の”格”って何ですか? 勅使河原真衣 著 朝日新聞出版 いかにも朝日新聞のコラムから出版されたなぁと思わせるようなタイトル。著者は組織論を専門とする方で、コラムにありがちな砕けた表現などに最初はちょっと戸惑いますが、本質をついていて非常に面白い。 例えば「自己肯定感を持ちましょう」とよく言われるが、教育再生実行会議の自己肯定感の定義では、「努力することで得られる達成感などを通じて育まれるもの」とされているそうです。「あるがままの自分を承認すること」が自己肯定ではないんだ?という、そもそもの定義自体にバイアスが入っていることがわかります。著者は、自己肯定感を育めばもっと頑張り続ける国民を作り上げられるということを前提にしている組織体制が問題であり、能力次第で存在の承認がされたりされなかったりする社会をそもそも何とかすべきではないかと訴えています。 そう考えると、個々の能力を評価する時に、「できる」「できない」「成長している」「成長してない」と断面的に捉える傾向は非常に危険なのかもしれません
2025年6月1日
第40回 make up ground(回復する、差を縮める)
第40回 make up ground(回復する、差を縮める) ネイティブでない人間は、なかなか名詞が組み込まれたイディオムというものにピンとこないことがあるのではないかと思います(私だけか)。このgroundもすぐさま「グランド」=地上と連想してしまうのが悲しいかな、勉強不足の人間の性。ただ、実際の用法では、「立場、見地、地歩」「根拠、論拠、原因」「問題、分野、領域」「背景」などかなり多岐にわたり、ちょっと訳しにくいと思ったことはあるのではないでしょうか。そんなgroundがくっついたmake up groundが本日の言葉です。 Make up groundのgroundは「立場、支配域」のような意味で、立場を回復する、復活させるという意味になります。 Tesla’s stock had its worst day since 2020 on Monday, tumbling 15%. The stock made up some ground Tuesday. 試訳:テスラ株は3月10日、(前日比で)15%下落し、2020年以降で最もひ
2025年5月10日


2025年4月
2025年4月 「市場最強の投資家 ウォーレン・バフェット」 1. 「市場最強の投資家 ウォーレン・バフェット」 トッド・A・フィンクル著 鈴木立哉訳 実務教育出版 金融翻訳に携わっている人で、ウォーレン・バフェットに関する記事を翻訳したことがない人はいないのではないかと思う生ける伝説、ウォーレン・バフェット。ウォーレン・バフェットに関する書籍は、翻訳する際の「裏取り」も兼ねて数冊保有しています。それでもまだバフェットに関する書籍が出版されるのは、不確実性が高まる時にバフェットに知恵を借りたいと思う投資家心理なのかもしれません(もちろん年齢も年齢なので、そろそろみたいなのもあるかもしれませんが)。先日、日経新聞の論説委員の方とお話したときも、バフェットが日本に来ると聞いて、中南米のアセットオーナーも地球を半周して日本まで来たエピソードをうかがいました。混沌とした時代だからこそ、投資家がバフェットという指針を求めるかもしれません。 さて、私が保有しているバフェット本と本書の大きな違いは、バフェットの生い立ちや人となりといった「バフェットを作った
2025年5月1日


2025年3月
2025年3月 「物価を考える:デフレの謎、インフレの謎」 1. 「物価を考える:デフレの謎、インフレの謎」 渡辺努 著 日本経済新聞出版 物価研究の第一人者、東大の渡辺努先生の最新著書。TVでの語り口も、書籍の書きぶりも、これだけ分かりやすく伝えられる経済学者として、彼の右に出るものはいないのではないかといつも感心します。 私がマクロ経済学を授業でとっていたそれこそ何十年前は、需要・供給曲線といった理論が中心でした。しかし、日本がデフレに陥り、その間の政策を語るうえで、正直こうした昔の理論が役立つことはほとんどなかったのではないかと思います。そもそも消費者や企業の期待(expectation)が頻繁に教科書に登場した覚えはありません。物価が上がると需要が減少し、供給がそれに合わせて減少する・・・お馴染みのロジックですが、そもそも消費者が「物価が上がる」と予想し、企業が「賃金を上げる」と予想しなければこの論理自体成り立たちません。日本では30年にわたりこのスパイラルが分断されていました。 最近のデフレやインフレの話がなかなか腑に落ちなかった
2025年4月1日


2025年2月
2025年2月 「平等について、いま話したいこと」 1.「平等について、いま話したいこと」マイケル・サンデル トマ・ピケティ 著 岡本麻左子 訳 早川書房 マイケル・サンデルとトマ・ピケティ。現代を代表する政治哲学者と経済学者(本人はそうは思っていないようですが)による対談。学歴の向上が国家の生産性を高め、国を豊かにしてきたのは紛れもない事実です。しかし、それとともに成功の捉え方が変わってきてしまい、不平等が拡大したことを憂いています。自分の成功は自分の手柄であり、取り残された人はそれにふさわしい努力を怠ったという考え方は危険だと。受験勉強でも「自分が頑張ったから●●大学に合格できた」と高らかに宣言するケースは多いですが、そもそも大学受験の機会は平等ではないという事実は無視すべきではないでしょう。早慶の合格者の75%が関東(東京、埼玉、千葉、神奈川)出身者になりました。住んでいる地域により所得、教育を受ける環境(私立、塾)が異なるのならば、国会議員でも大学の入学者でも適格者の中からくじで選んでも変わらないというロジックも頷けます。...
2025年3月1日
第39回 shell out, pay through the nose, cost an arm and a leg (大枚を払う)
第39回 shell out、pay through the nose、cost an arm and a leg (大金を払う) 日本製鉄によるUSスチール買収にトランプ政権が本格的に横やりを入れてきました。大型投資をするのであれば子会社化して支配下に置かなければ意味がないと言うのは経営陣の言い分。141億ドル(約2兆円)もの大金を支払うのに支配権がこの先も米国政治に左右されるのは、会社としては許されないことでしょう。さて本日の言葉は、「大金を払う」= shell out です。 Shellは名詞では貝殻、骨組み、弾薬などの意味がありますが、動詞では~から脱出する、砲撃するなどの意味で使われます。特にshell outになると(しぶしぶ)大金を払う、寄付をするという意味になります。 こちらは物価高騰が米国の消費者の重荷になっているという記事です。 With money in their pockets and prices surging, customers during the pandemic shelled out as much
2025年2月16日


2025年1月
2025年1月 「エシック経営 パーパスを経営現場に実装する」 1. 「エシック経営 パーパスを経営現場に実装する」名和高司 著 東洋経済新報社 猫も杓子も「パーパス」を掲げる昨今、「パーパス」がなぜ機能しないか、という点に焦点を絞った本。パーパスがお題目であるならば、それを実践するには、自分ごととして信念に落とし込まなければならないと説いています。スタートアップが事業を始めるときには、熱意と信念に突き動かされた少数のアントレプレナーが事業拡大に邁進していきます。その事業が軌道に乗って信念の実現に近づくにつれて従業員の人数も増え、もともと共有されていた価値観が薄まっていきます。そうした新しい従業員をも巻き込んで経営を進めていくには、倫理(エシックス)が大事というわけです。そりゃそうだなぁ、と思う一方、その倫理を育む「方法」というのは一筋縄ではいかないのはフジメディア・ホールディングスの迷走を見れば明らか。 少なくとも私の就職活動時代は、フジテレビは入社最難関の会社の一つでした。社員一人一人の資質は日本でもかなり高いほうでしょう。それでも「悪い
2025年2月1日


2024年11月/12月
2024年11月/12月 「誰が世界を変えるのか ソーシャルイノベーションはここから始まる」 1. 「誰が世界を変えるのか ソーシャルイノベーションはここから始まる」 フランシス・ウィストリー ブレンダ・ツィンマーマン エリック・ヤング 著 東出顕子 訳 英治出版 2024年は、グッドネイバーズ、UNHCR、ユニセフ、能登地震、認定法人DxP等、気が付けばいろんなところに寄付をした一年でございました(継続寄付も含む)。さまざまな課題や問題を目にするたびに「何とかしたい」と思うけれども、お金を出すことしかしていない自分に恥ずかしさを覚えます。結局贖罪の意識からこうした寄付が増えるのでしょう。 本書はそんな思いを抱えながら、自分にできることで社会を大きく変えた人たちの話。不可能を可能に変える行動には、どんな困難な問題でも解決できるという信念と、フロー(人間がそのときしていることに、完全に浸り、精力的に集中している感覚に特徴づけられ、完全にのめり込んでいて、その過程が活発さにおいて成功しているような活動における、精神的な状態)状態に陥ることが大事だ
2025年1月1日
第38回 Roll over (借り換える、言いなりになる)
第38回 Roll over (借り換える、言いなりになる) 今年も残り1カ月余りとなりました。この時期になってくると、旧NISA口座ではロールオーバーという年末処理を忘れないようにしなければ!と緊張感漂っていましたが、新NISAではこの処理が不要になりました。投資期間の恒久化は、資産運用立国を標榜する上でも非常に重要な改革の一つです。 さて、本日の言葉はこのroll over。金融関連の方にはお馴染みの言葉ですが、一般的によく使われる言葉でもないので取り上げることにしました。 投資関連の人が真っ先に思い浮かべる意味は「借り換える」ではないでしょうか? High interest rates also make it harder to roll over bonds when they come due, forcing governments with approaching payment deadlines to make cuts or raise taxes for money to pay not only the interes
2024年12月2日


2024年10月
2024年10月 「Die With Zero」 1.「Die With Zero」 ビル・パーキンス著 児島修訳 ダイヤモンド社 初版が2020年9月ですが、2024年6月時点で20刷、累計30万部を超えるヒットとなっている「Die With Zero」。お金の先生をする者としてはやっぱり読んでおかなきゃ!ということで購入。初めに申し上げておくと、この本はDie with zeroのためにどういう資産運用・資産形成をすべきかというノウハウ本ではありません。むしろ、何に軸足を置いて生きるべきか、という点に紙面の大半を割いているので、哲学書やマインドセットに関する本と言った方が良いと思います。 金融経済教育推進機構(J-FLEC)のアドバイザーになってから、自分の強みである資産運用分野以外で、人生におけるお金との付き合い方を考えさせられるようになりました。特に、いかに資産を形成するかということと同じくらい大事なのが、いかにお金を使うか(資産を取り崩すか)ということは大事な問題だと感じます。人間はとても心配症なので、いくらでも資産があれば安心なの
2024年11月1日


2024年9月
2024年9月 「言語学バーリ・トゥード Round2」 1. 「言語学バーリ・トゥード Round2」川添愛 著 東京大学出版会 出ました!「言語学バーリ・トゥード」の続編。言葉という「ネタ」をこんなに面白く読ませる本に仕立てるのはなかなか素晴らしいと思います。この軽妙なタッチの本が故に、フレンドリーな人なのではないかと錯覚されて超失礼なメールも飛んでくるらしい。ニコニコ笑っているアイドルが自分に気があると勘違いするのと一緒ですね。前回同様、サクサク読める中に言葉の本質が詰まっていてあっという間に完読しました。今回のお気に入りは「03言葉に引導を渡すもの」。いわゆる「死語」がどうして恥ずかしいのかというテーマです。そういえば30年前に最初の会社に新人が入ってきて、新聞の読み方とかの研修をしていたときに「XXXするのは甘い」という流れで「XXXするのは天地真理」と言って場が凍った恥ずい(これも死語?)が記憶がよみがえりました。私ですら天地真理のスポット世代ではないので、使いまわされた死語をさらに使って1ジェネレーション隔世した黒歴史です。...
2024年10月1日
第37 回 Drive home(納得させる、核心をつく)
第37回 Drive home (納得させる、核心をつく) なかなか上がらないリスクニング力をつけるために、最近シャドーイングを始めました。最初はシャドーイングでリスニング力がつくの?と半信半疑でしたが、2カ月ほど続けてみるとこれがなかなか良い。自分の発語を毎日聞くのはやや痛いのですが、これまでさまざまなリスニング勉強の中ではかなり効率的だと感じています。 一方、聞きっぱなしでさほど効果を感じないPodcastですが、これは情報収集にはそれなりに役立っています。ここ1年はBBC podcastとBloomberg Businessweekをその日の気分とタイトルでどちらかを選んで聞いています。BBCはニュースなので比較的聞きやすい一方、Bloombergはインタビューやその日の相場のラップアップが中心です。また早口でまくしたてるうえニュース朗読ではないのでやや聞きにくいなど、さまざまなトラップが待ち受けています。 そのBloombergのPodcastの最後のコーナー、Drive to the close(その日の相場を語るコーナー)の前に流れ
2024年9月18日


2024年8月
2024年8月 「世界トップ投資家の共通言語」 1. 「世界トップ投資家の共通言語」高岡美緒 曽我有希 著 日経BP社 2人の女性投資家による著書。高岡さんはベンチャーキャピタル系でお名前は存じてましたが、なにぶん私にVCの経験が乏しい事から講演等も聞いたことがありませんでした。大好きな代官山の蔦屋書店に積み上がっていたので購入。こういう衝動買いって結構「当たり」のことが多いのでリアル店舗での買い物はやめられません。 さて、本書は主にVCと上場企業の両投資家が注目する点を1つずつ取り上げて短い章としてまとめているので、IR初心者の方にも読みやすい。が、内容は結構ディープなので、「ふんふん、そうね」と思った後に深掘りすることが必要かもしれません。 「3-2 How do you allocate operating cash flow?」などは上場企業のCFO(CEO)の仕事のど真ん中ですが、こと中小企業の経営者の中にはその重要性を理解されていない方もいらっしゃる模様。以前エクイティストーリーと説明資料を作らせていただいた時、社長にキャッシュ
2024年9月1日


2024年7月
2024年7月 「コンサル1年目が学ぶこと」 1. 「コンサル1年目が学ぶこと」大石哲之 ディスカバー・トゥエンティワン 代官山の蔦屋書店に平積みになっていた本。ぱらぱらと立ち読みしてみると割と実践的なことが書いてあるため即購入。新卒で外資系証券会社に就職し、体系的な新人教育はあまり受けていなかったので、コンサル1年目の人がどんな教育を受けているのか興味津々。いまから1年目の新人に戻ることはできませんが、エッセンスは学ぶことができます。 中でも「08 相手の期待値を把握する」には、なるほどその通りとうなづくばかり。ビジネスをするうえで一番大事なことの一つに期待値を超え続けることが挙げられます。いわゆる「さすが〇〇だね」というやつですね。そうなると必要以上に期待値を「上げてしまう」ことは避けた方が良いことになります。最近、自分の比較優位性のない仕事を頼まれることがありますが、その際に安請け合いしないことが重要だと思っています。できるかぎり自分がその分野の専門ではないことを伝え、それでもいいかと確認をしますが、人間というのは相手から合意をされたら
2024年8月1日


2025年11/12月
2025年11/12月 1.「資本コスト経営のすすめ」 野口真人 著 日本経済新聞出版 東証のPBR引上げ要請(正確に言うと、そんな名前で要請を出したわけではありません) から早3年。当初は自社株買いや増配といった財務レバレッジの引き上げ策ばかりが行われていましたが、最近は、抜本的な事業改革に踏み出す企業が増えてきました。IR界隈にいると「資本コストの引き下げ」という言葉はちょっと聞き飽きた感があります。そんな中で今年4月に出た本書。著者はファイナンスをこれでもかというくらいわかりやすく説明する名手の野口真人さん。ということでこの本の薄さでどこまでわかりやすく書いているのか気になって買ってみました。 本書は資本コストとは無縁の経営者・経営企画部を対象に、具体的な開示上の改善案まで提起することを目指したものですが、さすがにちょっと駆け足すぎる感じを受けました。たしかにわかりやすいのですが逆に丁寧さに欠けるというか、対象読者の知識レベルを初級に設定した割には不親切なような気がします。前半の知識編だけでも一冊分の本にした方がよかったような・・・


2025年10月
2025年10月 「パンチラインの言語学」 1.「パンチラインの言語学」川添愛 著 朝日新聞出版 言語学者、川添愛さんの新著。タイトルからして絶対「バーリトードゥ」系だろうと推察したので、最近地域図書館に追加された「LINEで買ってほしい本のリクエスト」機能を使って申請してみました。するとあっという間に図書館が購入してくれたので予約一番、新品本を読むことができました。地方税を払っているかいを感じた瞬間です。ふるさと納税で地方の産物をもらうばかりが税金の使い道ではないなぁとつくづく感じました。 さて、パンチラインとは、いわゆる名セリフを指すらしいです。名セリフと言われても、どうも著者と指向が違うらしく、取り上げられたパンチラインの半分くらいしか知らなかったわけですが、それはさておき軽い読み物としてはやはりおもしろい。「めざせ、かっちゃん、甲子園」が七五調でゴロが良いとか、末尾につく「よ」を考察してみたりだとか、普段はあまり気にしていない点を掘り下げているところにオタク感がちりばめられています。翻訳などというオタク域の仕事をしている人間には(私のオ


2025年9月
2025年9月 「論理的思考とは何か」 1. 「論理的思考とは何か」 渡邊雅子著 岩波新書 英文を書くことを生業にしている者は、ロジカルシンキングに基づいて文章を書くことが至上命題とされています。ライティングの講座では必ず、主張ー本論ー結論といった構造を取ること、パラグラフごとにその型を踏襲することを嫌と言うほどやらされます。しかし、この型は米国を中心とした経済効率性の達成を目的としたレトリック(人を説得する技術)に基づいており、アングロサクソン系のライティングが中心の世界でのみ、これが唯一無二のレトリックだと思われているに過ぎないらしいのです(知らなかった!)。 応用言語学者のカプランによれば、読み手が「論理的である」と感じるには統一性と一貫性が必要であり、「読み手」がそう感じるかどうかはその文化や社会の中で馴染んだパターンに落とし込む必要があるそうです。 筆者はそのパターンをアングロサクソン系のエッセイ、フランス系のディセウタシオン、イラン系のエンシャ―、日本系の感想文の4つに分けて説明しています。論理的思考が目的に応じて形を変えて存在す
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