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2022年11月
2022年11月 「ROIC経営実践編 事業ポートフォリオの組換えと企業価値向上」 1.「ROIC経営実践編 事業ポートフォリオの組換えと企業価値向上」 昨今注目のROICですが、企業経営においてどのようにROICを使ったら良いかという答えは、大手企業でなければなかなか出ていないのではないでしょうか?こちらの本は前作「ROIC経営:稼ぐ力の創造と戦略的対話」の第二弾。表題に「実践編」と打っているように、ROICのコンセプトは分かったけれども実際に事業ポートフォリオにどのように応用すれば良いかを説明しています。 かく言う私も企業経営者ではなく、この本を読んでも実際に手を動かして事業ポートフォリオの組み換えを行えるわけではありません。だから「腑に落ちた」と言えないところが残念なのですが、それでも事業ポートフォリオの評価方法や1年間のサイクルの回し方など真似できる点は多いと思います。 コーポレートガバナンス・コードで資本コストを意識した経営が謳われていますが、実際のところ東証企業3800社(多すぎ!)の中でどこまでROICを実践できるのかは疑問です
2022年12月1日


2022年10月
2022年10月 「先生、お金持ちになるにはどうしたらいいですか?」 1.「先生、お金持ちになるにはどうしたらいいですか?」 奥野一成 ダイヤモンド社 農中アセットの奥野さんが子供向けに書いた本。 高校生向けに金融授業をやりたいなぁと最近ひそかに企んでいるので、ついつい手に取ってしまいました。 日本では圧倒的にお金についての教育が不足していると実感します。その理由の1つが、給与所得者が「確定申告不要」な源泉徴収で納税を終わらせていることではないでしょうか。私は諸般諸々の事情で最初に会社に入った2年間以降、毎年確定申告をしています。そうすると所得が多い少ないに関わらず、取れる控除は取ろう!と毎年の税制改革にも敏感になるし、株式の売買にも慎重になります。税務署が「税金の徴収不足のときだけ言ってくるけど、超過納付のときは教えてくれない」場所だということを知ったのもこの時です。 この本には「お金持ち」になるにはどうしたらいいかという、一見株式投資の薦めのようなタイトルがつけられていますが、金融の授業というよりも、think for yourself, i
2022年11月7日
第32 回 go south(下落する)、go north(上昇する)
第32回 go south(下落する)/ go north(上昇する) 日本、海外を問わず、証券関連の言葉には「なんでそういうの?」と疑問に思う用語や言い方をよく目にします。新卒で入った会社のロゴマークがブル(水牛)でしたが、就職面接のときになんでかなぁ?と思った覚えがあります。ウォールストリートの入口に大きな雄牛のブロンズ像がありますのでご存じの方も多いかと思います。bull は角を上に上げるため「上昇相場(bull market)」を表し、熊は立ち上がって手を下に振り下ろすので「弱気相場(bear market)」を表しますので、そこから取ったものです。 余談ですが、昔べ〇・スターンズという証券会社がありました。リーマンショックの頃になくなりましたが、これはbearではなく人の名前です。縁起でもない名前だからなくなったわけではありません。 さて、本日のgo south と go northは相場用語という訳ではないかもしれませんが、「南に行く=↓=下落」「北に行く=↑=上昇」から主に相場の動向を示す時に使います。 こちらは2022年6月3日の
2022年10月17日


2022年9月
2022年9月 「図解&ストーリー『資本コスト』入門」 1.「図解&ストーリー『資本コスト』入門」 岡俊子 著 中央経済社 HPやツイッターでも「IRコンサルティングやってます!(本日も頑張って営業中!)」みたいなことをちょくちょく書いておりますが、企業の方と話す時になかなかPL思考が抜けないなぁと感じるのがこの資本コストの話が出るときです。 新しいガバナンスコード原則5-2では「自社の資本コストを的確に把握したうえで、~収益力・資本効率当に関する目標を掲示」せよと言っているので、「そりゃあもちろん、上場企業は資本コストをちゃんとはじいてるのよね」と思ったりしますが、さにあらず。そんなことは225銘柄の優良企業とか、意識高い系の会社であって、資本コストという概念を説明することすら難しいという場合もあります。 ということで、しばらく資本コストの伝道師になろうかと思い、簡単に説明している本はないかなぁと思って出会ったのがこちらの本。難しい数字の話をほとんど出さずに資本コストの概念をうまく説明していると思います。いまさら資本コストって何?と聞け
2022年10月1日


2022年8月
2022年8月 「お金はサルを進化させたか よき人生のための日常経済学」 1.「お金はサルを進化させたか よき人生のための日常経済学」野口真人 著 日経BP社 企業評価会社を経営されている野口真人さんの著。他にも「パンダをいくらで買いますか?」とか人を食ったようなタイトルの本がありますが、それでも内容は超専門的。わかりにくいファイナンスの内容をよくもここまでわかりやすい事例を出して説明しているなぁと感心します。最近何度か会計・ファイナンスに関するオンラインセミナーを担当させて頂いておりますが、この方の著作はファイナンスというものになじみのない方々にいかに興味を持ってもらい、わかりやすく説明するかのお手本として最高の参考書です。 とはいえ、ちょっとこの本は行動経済学にまで足を突っ込んでいるので、紙面が足りないという感じも否めません。特に第六章のリスクとリターンについては、これだけで証券アナリスト試験の最初の数章を使ってしまうテーマなので、若干消化不良かもしれません。しかし、この本を足掛かりにファイナンスというものに興味を持ってもらうのには最適の入
2022年9月1日
第31 回 head fake (だまし、フェイント)
第31回 head fake (だまし、フェイント) ジャクソンホール会議でのパウエル議長の9分間の講演が、市場を揺るがしています。 イエローストーン国立公園などがあるこの地で毎年夏に行われる会合は、もともとは世界中から経済関係の偉い人が、クラフトビールを傾けてハイキングやカヌーなどを楽しみつつ、経済の理論や長期的展望をわいがやする場だったそうです。しかし、8月はFOMCが開催されないこともあり、最近ではここでの発言が市場参加者の少ない夏の相場を動かす一つの材料になっています。 さて、本日の出会った言葉は「head fake」。 最近実際に出会った出典をここでご紹介するわけにはいかないのですが、head fakeはいわゆるバスケとかでいう「フェイント」のこと。 “US equity markets are at a critical tipping point," quant strategist Masanari Takada wrote in a January 10 note. Gear up for another head fake ,
2022年8月29日


2022年7月
2022年7月 「破壊 新旧激突時代を生き抜く生存戦略」 1.「破壊 新旧激突時代を生き抜く生存戦略」 葉村正樹 ダイヤモンド社 Disruptionーこの言葉はしょっちゅう翻訳対象の英文の中に出てくるわけですが、実のところ毎日ぼっちで翻訳をしていることが多い私がこの創造的破壊を実感することは少なく、自分とはあまり関係ない単語だなぁと思っておりました。 しかし、IR業務を通じて企業と関わる中で、何も先端技術ではなくともディスラプションというのは割と身近に起きている(そして起こすことが可能)だということを実感することも多くなってきました。 そんな中で出会った今月の1冊。企業がディスラプションを起こし、生き残っていくうえで、1. 人間中心に考える、2.存在価値を見極める、3.時空を制する という3つの戦略が重要だと説いています。 あれ?よくよく見ると、1は「マーケットイン」の発想、2は昨今のパーパス経営に通じるじゃありませんか。ディスラプションという仰々しい言葉を使わなくても、企業価値の創造にはこうした発想が欠かせないようです。 しかし・・・...
2022年8月1日


2022年6月
2022年6月 「投資家と経営者をつなぐ実践的IR戦略」 1.「投資家と経営者をつなぐ実践的IR戦略~自社の時価総額を引き上げる全シナリオ~」 飯塚洋一 著 ダイヤモンド社 今年4月の東証市場改革により、東証上場企業はプライム、スタンダード、グロースの3つに分けられました。プライム企業の中には基準を満たしていない「なんちゃって」プライムも300社近くあり、今回の改革が東証が本当に目指す「日本企業の企業価値を向上させる後押し」になるかどうかはいささか疑問です。 とはいえ、試験前1週間にならないと勉強し始めない我が家の子供と同じく、人間切羽詰まらないとやらないというのも事実。やれ浮動株比率が35%以上じゃなきゃだめ、とか、TCFDに準拠した開示をしないとだめ、だとか外堀を埋められて初めて「これはまずいのでは?」とIRに本腰を入れ始めた企業も多いように思います。 さて、こちらの本は2014年初版とやや古いですが、IRの目的やエッセンスといったものがわかりやすく実体験として書かれています。内容はいたってスタンダードで当たり前と言えば当たり前なのですが、実
2022年7月1日
第30 回 toppish(上値の目途・節目、抵抗線)
第30回 toppish(上値の目途・節目、抵抗線) 今年は異常に早い梅雨入りだった関東地方ですが、気がつけばいつのまにやら梅雨明けの様相です。 米連邦準備理事会(FRB)も当初はインフレは一時的との姿勢だったのですが、気がつけば超強硬なインフレファイターへと早変わり。人の心は変わりやすいものです(秋ではなく梅雨ですが・・・)。 さて、そんな中で最近よく目にするようになった言葉がsoftish landing(ソフティッシュ・ランディング)。これまでよく耳にしていたsoft landing(ソフトランディング)が「高成長を安定へ導く過程で、不況などを招かないように徐々に成長速度を低下させること。また、そのようなな経済政策。軟着陸」(出所:コトバンク)であるのに対して、多少の景気減速や資産価格の下落があっても、物価を抑える」という中央銀行の姿勢を示す言葉として注目されています。 https://kotobank.jp/word/%E3%82%BD%E3%83%95%E3%83%88%E3%83%A9%E3%83%B3%E3%83%87%E3%82%
2022年6月27日


2022年5月
2022年5月 「サイコロジー・オブ・マネー」 1. 「サイコロジー・オブ・マネー」 モーガン・ハウセル著 児島修訳 ダイヤモンド社 ここ数カ月読んでいる経済関連の書はなぜか行動経済学に関わるものが多く、先月の「ノイズ」も然りなわけですが、この本もお金、特に投資にまつわる心理について書いた書籍です。 いま巷の投資理論はマーコウィッツのMPT等に端を発する理論に基づいていると理解していますが(違っていたらごめんなさい)、これら投資理論は数々の仮定の上に成り立っています。人は合理的に行動する、ある資産との相関は一定等・・・。これら理論が投資運用のモデル化や金融工学の発展に果たした役割は絶大であり、それ自体を否定する気はまったくありませんが、その昔ケインズが株式投資を美人投票と評したように、そもそも投資と心理は切っても切り離せず、それを無視して投資を語ることはできないわけです。 それなのに、一時期のLTCMなどウォールストリートのエリート達が理論に基づいてバリバリレバレッジをかけて裁定取引を行い、結局それで飛んだ(揚げ句に立つ鳥跡を濁しまくって、各国
2022年6月1日
第29 回 Depeg(連動が外れる、連動しなくなる)
第29回 Depeg(連動が外れる、連動しなくなる) 年初からいろいろな市場が大きく変動していますが、ここにきて暗号資産の価格が急落しています。 特に法定通貨の裏付けがあることを売りにしていたステーブルコインのご凋落が激しいです。 先週は、テラUSDが急落し、米ドルとの連動を維持してきたテザーも下落しました。 そこで今回は、この連動が外れることを意味するdepegを取り上げます。 国内外問わず、言葉は時代やその時の情勢と共に変わったり、新しい言葉ができたりするものですが、pegが「連動する」なら、de+pegはもちろんその反対で「連動しなくなる、連動が外れる」を意味するわけです。いちいち The largest stablecoin, Tether, has broken its peg to the dollar. と言わなくても Tether has depegged to the dollar. で済むわけです。文字数カット!省エネ。ということで、ウェブサイトを見ていてもよく使われているようです。 Another coin called F
2022年5月16日


2022年4月
2022年4月 「NOISE【ノイズ】」 1.NOISE【ノイズ】ダニエル・カーネマン、オリヴィエ・シボニ―、キャス・R・サンスティーン 著 村井章子 訳 早川書房 ノーベル経済学賞受賞者のダニエル・カーネマンによる著。人の判断結果を著しくゆがめるエラーを、バイアスとノイズに分け、特にノイズに焦点を当てて論じています。ノイズは著しく不公平で、多くのコストを生みますが、そうしたノイズを分析し、論じ、さらにノイズを削減するための施策まで盛り込んだ極めて実践的な書です。不確実な現実においてアルゴリズムは完全ではないものの、AIのようなものはコスト見合いと言う点でも一定の効果を発揮すると論じています。 先日、都内の有名私立大学病院に行った知人の大腸にポリープが見つかりました。内視鏡で見たところ良性なので、手術は急がないと言われたそうです。その後、他の所見で都内の有名国立病院にかかったところ、そこの病院のA医師はこの大腸ポリープは「面構え」は良いが取りにくいポリープなので内視鏡ではなく普通の手術にしましょうと言い、B医師は「良かったですね。ガンです
2022年5月1日


2022年3月
2022年3月 「企業価値評価」 1.企業価値評価 鈴木一功 著 ダイヤモンド社 私が所属している日本CFA協会では、 「CFA協会リサーチ・チャレンジ」 というイベントを年に1度実施しています。大学生がチームを作り、分析対象チームの株式レポートを英語で作成し、その優劣を競うというコンペです。日本で代表になると、その後アジア地区大会、世界大会と進出していくことになります。 昨年、何を血迷ったのかそのリサーチ・ペーパーのグレーダー(ボランティアです)に手を挙げてしまい、10月~11月上旬の2-3週間ほど死にそうになりました。「血迷った」というのは、職業柄この時期にスケジュールを入れるべきではないということは重々承知していたのに・・・という意味でございます。活動内容は非常に有意義で、学生さんたちの意欲的なレポートを読んで、今一度自分も頑張ろうと決意を新たにするのには十分なものでした。詳しくは割愛するとして、その際学生さんがレポートを書くのにどんな書籍を読んだらいいのかなぁと思い手に取ったのがこの「企業価値評価」。 証券アナリスト試験のテキスト
2022年4月1日
第28回 True up(調整する、修正する)
第28回 True up (調整する、修正する) ご無沙汰しております。 決算やらウクライナやら通常の業務と違う事象が降り注いできた2月、3月。気になる言葉がなかったわけではなく、単に気がついていてもアップする暇がなかったという状況でした。 さて、本日の言葉はTrue-up。技術系翻訳の方にはおなじみかもしれませんが、「調整する」という意味合いで使われることが多いようです。 We use a special tool to true up the wheel of the lathe. 特別な機器を使って旋盤のホイールを調整した。 一方、会計でもtrue upはよく使用されます。 The accountant trued up several entries to reconcile discrepancies in our balance sheet. 会計士はバランスシートの差異を調整するために複数の仕訳を修正した。 < https://idioms.thefreedictionary.com/true+up > 2つ目の文章ではtrue..
2022年3月14日


2022年2月
2022年2月 「企業価値向上のための経営指標大全」 1.企業価値向上のための経営指標大全 大津広一 著 ダイヤモンド社 東証の市場改革によりプライム、スタンダード、グロースの3つに区分変更される日がいよいよ4月4日に迫ってまいりました。とはいえ、プライム基準を満たさず身の丈に合っていない企業が300社近く?!あり、企業価値の向上が急務となっています。企業価値とはその企業がこの先どのように成長していくかというエクイティストーリーを織り込んだキャッシュフローから算出されるわけです。そのストーリーを体現する戦略を示したKPI(最重要指標)は、社内外に向けて「僕たちはこの先こうやって企業価値を上げていくんだ!」という選手宣誓だと言えます。 そのKPIをわかりやすく、さらにそのKPIを採用している企業のケーススタディをふんだんに盛り込んで説明したのがこの書。さほど会計やファインナンスの知識がなくても理解できる構造も、幅広い読者を対象としていることをうかがわせます。 このケーススタディに挙げられている一部企業のように、熟考のうえKPIを定めている企
2022年3月1日


2021年12月/2022年1月
2021年12月/2022年1月 「話(WA)」 1.「話(WA)」 リアズ・メグジ 著 斉藤孝 監修 アチーブメント出版 年末にいろいろ本を買ってしまい、何冊も同時に「読み散らかしている」状態なので、12月と1月をまとめてしまいました。 松丸さとみさん訳の爆売れ本「LISTEN」のお隣にあった本。傾聴⇔話術の組み合わせで面白そうだなぁと思って買ってみました。 著者はテレビの司会者を長年務めた後現在は人と人とのつながりを専門とするレクチャラーのようなお仕事を専門にされているみたいです。「話術」のコツを教えてくれる本かと思ったのですが、話し方というよりも、コミュニケーションのコツを教える本だった・・・。 そして、よくよく見るとちゃんとタイトルの横に原題「Every conversation counts. The 5 habits of human connection that build extraordinary relationships」って書いてあるじゃないですか!「話」という漢字に紛らわされた私が悪い・・・。...
2022年2月1日
第27回 Belly (膨らんだ部分、パー近辺のクーポン)とwing
第27回 Belly (膨らんだ部分、パー近辺のクーポン)とwing 明けましておめでとうございます。今年もよろしくお願い申し上げます。 しばらくこちらのページの更新が止まっておりました。気になる言葉がなかったのではなく、あまりにわからなくて調べるのに時間がかかったというだけのこと。それがきょうの言葉、Belly とWingです。初めに申し上げておくと、今日の言葉は債券用語なのであまり関係ないわとおっしゃる方はスルーを。 今回手こずったのは「wing」の方です。 Bellyは債券イールドカーブの説明では割とよく見る表現で、文字通り「腹」のように膨らんでいる部分を指します。順イールドの場合はカーブが右肩上がりなので、例えば中期ゾーンが売られたりするとそのカーブの真ん中の部分が盛り上がります。これを「腹」と言うわけです。では日本語の訳としてはどうするかですが、「イールドカーブの膨らんだゾーン」とか、具体的にカーブの形状が盛り上がっている年限を指して「イールドカーブのXXX年限ゾーン」とかいう訳を当てていることが多いのが現状です。さすがに「腹」はどう
2022年1月14日


2021年11月
2021年11月 「シンプルな英語」 1.「シンプルな英語」中山裕木子 講談社現代新書 ご存じ「英語は3語で伝わります」の工業翻訳者、中山裕木子さんの最新著書。こういう本、いっぱい持ってるよねぇ、と思いつつやっぱり買ってしまう。この本は現代新書ということで小さく鞄にも入るので隙間時間用に持ち運びにも便利。 さて、この本の良いところと言えば、何と言っても例題が多く載っているところではないでしょうか。英文を書く場合、まずは文法や語彙といった基本事項をおさえるのはもちろんのこと、いかに使える言い回しの引き出しを多く持っているか、そしてそれを実践で使えるか、ということが非常に重要だと思います。「予算を最大限に活用しなければいけない」(P27 )を英訳せよ、と言われたときに、文法上正しく、受験英語で使ったおなじみのWe must make the most of our budget.という言い方の他に、We must maximize our budget.がさっと引出しから出てくるかどうかが、英文を書く上で幅を広げるポイント。どんな本もそうですが
2021年12月1日


第3回 中国関連の固有名詞で中国語⇔英語訳/日本語訳が見つからないときは・・・
はじめましての方も、お久しぶりの方も、こんにちは。中山桂です。 10月から11月にかけて企業決算のIRのお手伝いやら、CFA協会のお手伝いやらで忙殺されていたら、1カ月近くHPを更新しておりませんでした。大変失礼いたしました。 今日は久しぶりにTips for translationをお届けします。お題は「中国関連の固有名詞で中国語⇔英語訳/日本語訳が見つからないときは」です。 現在通っているライティングコースの先生が、これは便利よ、と言って教えてくださったTIPSなのですが、私には本当に役に立ったのでシェアしようかと思った次第です(こんなことは知ってるよと言う方はスルーを)。 仕事柄よく中国に関するレポートを日本語訳/英訳することがあります。その際一番面倒くさいのが中国語の固有名詞の英語/日本語表記を探すことです。 例えば、先日手がけた英日の金融レポートの中に、中国関連企業の名前でPowerlongという会社名がありました。通常、日本語のレポートの中で中国企業を表記する際は初出時は漢字(英語名)で書きます。例えば今話題の中国恒大は中国恒大(Ev
2021年11月19日


2021年10月
2021年10月 「教養としての経済学 生き抜く力を養うために」 1.「教養としての経済学 生き抜く力を養うために」一橋大学経済学部 編 有斐閣 12月に入ったのに10月に読んだ本を紹介している時点で、ハムスターのような私の生活を露呈しているようで恥ずかしいのですが・・・今月はまず、書店でたまたま見つけたこの一冊から。「教養としての経済学」と言う言葉が、教養のない私の心に妙に刺さり、「どれどれ、ちょっと覗いてみよう」と手に取ってみました。一橋大学の若手教授たちが(若手と言っても初版は2013年なので、今ではすっかり重鎮かもしれません)自分の専門分野について学生に語りかけるような感じで平易な言葉で説明しており、1つのパートがぴったり5分で読み終わるというまさに朝読書のために書かれたような本です。 内容は浅くはありませんが、教科書のような感じです。ただ示唆に富む文章も多く、経済に普段あまり接していない人にもとっつきやすい初心者向けの書物としては良い本です。経済学の単位が3(4段階評価)だったという娘の手にこの後渡る予定。 ★★★☆☆ 「英語が読める
2021年11月1日


2025年11/12月
2025年11/12月 1.「資本コスト経営のすすめ」 野口真人 著 日本経済新聞出版 東証のPBR引上げ要請(正確に言うと、そんな名前で要請を出したわけではありません) から早3年。当初は自社株買いや増配といった財務レバレッジの引き上げ策ばかりが行われていましたが、最近は、抜本的な事業改革に踏み出す企業が増えてきました。IR界隈にいると「資本コストの引き下げ」という言葉はちょっと聞き飽きた感があります。そんな中で今年4月に出た本書。著者はファイナンスをこれでもかというくらいわかりやすく説明する名手の野口真人さん。ということでこの本の薄さでどこまでわかりやすく書いているのか気になって買ってみました。 本書は資本コストとは無縁の経営者・経営企画部を対象に、具体的な開示上の改善案まで提起することを目指したものですが、さすがにちょっと駆け足すぎる感じを受けました。たしかにわかりやすいのですが逆に丁寧さに欠けるというか、対象読者の知識レベルを初級に設定した割には不親切なような気がします。前半の知識編だけでも一冊分の本にした方がよかったような・・・


2025年10月
2025年10月 「パンチラインの言語学」 1.「パンチラインの言語学」川添愛 著 朝日新聞出版 言語学者、川添愛さんの新著。タイトルからして絶対「バーリトードゥ」系だろうと推察したので、最近地域図書館に追加された「LINEで買ってほしい本のリクエスト」機能を使って申請してみました。するとあっという間に図書館が購入してくれたので予約一番、新品本を読むことができました。地方税を払っているかいを感じた瞬間です。ふるさと納税で地方の産物をもらうばかりが税金の使い道ではないなぁとつくづく感じました。 さて、パンチラインとは、いわゆる名セリフを指すらしいです。名セリフと言われても、どうも著者と指向が違うらしく、取り上げられたパンチラインの半分くらいしか知らなかったわけですが、それはさておき軽い読み物としてはやはりおもしろい。「めざせ、かっちゃん、甲子園」が七五調でゴロが良いとか、末尾につく「よ」を考察してみたりだとか、普段はあまり気にしていない点を掘り下げているところにオタク感がちりばめられています。翻訳などというオタク域の仕事をしている人間には(私のオ


2025年9月
2025年9月 「論理的思考とは何か」 1. 「論理的思考とは何か」 渡邊雅子著 岩波新書 英文を書くことを生業にしている者は、ロジカルシンキングに基づいて文章を書くことが至上命題とされています。ライティングの講座では必ず、主張ー本論ー結論といった構造を取ること、パラグラフごとにその型を踏襲することを嫌と言うほどやらされます。しかし、この型は米国を中心とした経済効率性の達成を目的としたレトリック(人を説得する技術)に基づいており、アングロサクソン系のライティングが中心の世界でのみ、これが唯一無二のレトリックだと思われているに過ぎないらしいのです(知らなかった!)。 応用言語学者のカプランによれば、読み手が「論理的である」と感じるには統一性と一貫性が必要であり、「読み手」がそう感じるかどうかはその文化や社会の中で馴染んだパターンに落とし込む必要があるそうです。 筆者はそのパターンをアングロサクソン系のエッセイ、フランス系のディセウタシオン、イラン系のエンシャ―、日本系の感想文の4つに分けて説明しています。論理的思考が目的に応じて形を変えて存在す
COLUMN
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