今月の本
~毎朝5分*3冊(時に4冊)をご紹介していきます~

毎朝20分ほど読書の時間を作っています。もともとは1冊の本を読み終わるまで別の本を読まないタイプでしたが、そんなことをしていたら、①読みたい本だけを優先する、②積読が増える、③ジャンルが偏る、という事態に陥ってしまいました。そこで子供たちが学校で行っているように「朝読書の時間」というものを設けて、毎日少しずつでも読み進めるようにしたところ、1カ月でだいたい4-5冊は読めることがわかりました。

 

朝読書のルール

① 15分(切り悪い時は5分以内であれば延長可)

② 13

③ ジャンルはすべて違うものを選ぶ

 

選書の基準としては自分の専門分野である経済、投資、会計等から1冊、英語・翻訳に関係するものを1冊、その他どの分野でも良いものを1冊、としています。

 

良かった本、自分の趣味に合わなかった本などいろいろありますが、1カ月で読んだ本をご紹介していこうと思います。

「経済指標 読み方のルール」

 

, 「経済指標 読み方のルール」 かんき出版 

サイモン・コンスタブル/ロバート・E・ライト 著 上野泰也 監訳 高橋璃子 訳

 

私の業務の半分は、投資銀行やヘッジファンド等が顧客向けに発信しているレポートの日英翻訳です。そうしたレポートの中には毎月さまざまな経済指標が登場するのですが、その経済指標を包括的に説明した本がないなぁと思っていたところに、このタイトルが目につきアマゾンでポチリ。

 

この本は、個人支出、政府支出、インフレなどの分野に分けて50の経済指標を取り上げています。ただし、11つの経済指標について深く説明するというよりも、例えば「耐久財受注は先行指標であり、耐久財受注が増える局面では企業に対する信頼感が高まっている」のような単純な説明に終始しており、この書籍の目的は、経済指標のインプリケーションを丁寧に説明するのではなく、「この指標が上昇している時は株の買い場だ」といういかに投資に役立つかを重視しているようです。

 米国の経済指標に多少の知識のある方であれば、インターネットでデータ提供先の説明や、数々ある金融会社のレポートを読んだ方がはるかに多くを得られると思います。

 ということで、残念ながら★は1つ。

 包括的でもっと深く米国経済指標を説明した本、どこかにないですか

 

★☆☆☆☆

「英語なるほど!ライティング」

2.「英語「なるほど!」ライティング 講談社 

遠田和子 岩淵デボラ 著

 

年のせいか、1度読んだ本も、結構忘れるようになりました。ずいぶん前に読んだはずなのに、英文ライティングの「基本のき」を書いたこの本も、久しぶりに引っ張り出してくると新鮮な学びを得ることができました。

 

業務で法定開示資料などの日本語を英語に翻訳することがあります。その際「既存の訳はそのままに」とリクエストされることが多いのですが、その既存の英文に「本当にこれでいいの?」と思うことがよくあるのです。ハイコンテクストの日本語をそのまま直訳した、冗長な表現がたくさん残されていて、「これでは外人には伝わらないなぁ」と思いながら渋々そうした文章を残しています。

 

この本は非常に簡潔かつ読みやすく、「強い動詞」や「能動態を使う」「具体的に置き換える」といった7C(clear, concise, concrete, correct, coherent, complete, courteous)な英文を書くコツを多数載せています。

 

また、この本の構成は、Part1「英語のセンテンスを組み立てる」、Part2「アイデアを英語らしく表現する」、Part3「センテンスからまとまった文章へ」の3部構成になっています。Part3は、エッセイやビジネスレター、Eメールの書き方などに言及しているのですがすが、実は、数年前この本を初めて読んだときには、日英翻訳自体にはあまり関係がないと思ってこのPart3を読み飛ばしてしまいました。今回改めてPart3も読んだところ、この章だけでもビジネスパーソンには非常に役立つことがわかりました。

 

そもそも日本の学校では作文をたくさん書かせるわりに、そのほとんどが自分の感情の記述や表現が中心で、エッセイの書き方や構成に対する指導はほとんど行われていません。Part350ページ強と短いものの、社会人になる前に大学生にぜひ読んでおいて欲しいと思います。

 

 

★★★★★

 

「最新 世界情勢地図」

3「最新 世界情勢地図」 ディスカバー・トゥエンティワン 

パスカル・ボニファス/ユベール・ヴェドリーヌ 著 佐藤絵里 訳

 

この本は、観光・言語・南北格差・核・水・テロなどさまざまなテーマについて、左側に地図/右側に解説という形で展開していきます。第4部では、各国から見た世界との関係を示しているのですが、インドやトルコ、日本といった国を取り上げているだけでなく、旧植民地のセネガル(この本は元々フランスの本です)やスペイン、ベルギー、ポーランドなどの地域的・歴史的に近い地域を取り上げている点は興味深いです。地図というのは、「どこを起点に作っているか」によってまったく異なることをつくづく実感します。

 

こうした「大人向け地図帳」なのですが、あまりに情報を盛り込み過ぎていて地図自体が見にくい!そのため、本来は眺めているだけで面白いはずの地図が、わかりにくくなっているのは大変残念です。

 

★★☆☆☆

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