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第23回 Greenium (グリーンプレミアムが乗っている)
新しい言葉を目にすると、つくづく言葉は生きているなぁと思います。単なる主観ですが、日本語では主に新しい言葉・用法を作る中心が10代の若者である一方、海外ではメディアや業界中心に新たな言葉が生まれている気がします。Brexitなどはその典型例ではないでしょうか。
昨今この言葉を見かけない日がないくらい一躍金融・社会の中心に躍り出たESGですが、社会的責任投資(SRI)はそもそも宗教上の信念などに基づいて、ある一定のセクター(アルコール、たばこ、武器等)を排除するという投資手法からスタートしました。特定のセクターを排除する投資手法が一般的だったため、リターンがベンチマークに劣りがちで、最初の頃は「SRIやESG投資は儲からない」と頑なに思われていました。
ところが、投資商品や戦略サイドでのイノベーションに加えて、企業の社会的責任が声高に叫ばれるようになると、こうした社会的責任を果たす企業の方がクオリティが高いと評価されるようになり、ESG投資のパフォーマンスが通常の投資に劣らないようになりました。
こうした背景の中で生まれたのが、本日の言葉、Greeniumです。
Green + Premium = Greenium
というわけで、グリーン証券の方がプレミアムが乗っている(割高である)という意味になります。
Ethical bonds are such a phenomenon in Europe that they often trade at a premium to your run-of-the-mill debt -- a greenium, if you will.
まさにこの1文の通りで、trade at a premuim なことを指します。ちなみにこの文では run-of-the mill debt (ありふれた、通常の債券)に対して、とありますが、ちょっと乱暴な感じがします。通常は同一発行体(同クレジット)の同デュレーションの債券と比較して、となりますので、run-of-the mill debtではなくて、comparable debtの方が実態を表していると言えます。
また一般的にGreeniumは債券に使われますが、株式のバリュエーションに対しても使われているようです。
今に女性活用企業指数なんかに採用された企業に対して、womaniumとかいう言葉もつかわれるかも!
(2021年8月17日)