今月の本
~毎朝5分*2~3冊をご紹介していきます~

毎朝20分ほど読書の時間を作っています。もともとは1冊の本を読み終わるまで別の本を読まないタイプでしたが、そんなことをしていたら、①読みたい本だけを優先する、②積読が増える、③ジャンルが偏る、という事態に陥ってしまいました。そこで子供たちが学校で行っているように「朝読書の時間」というものを設けて、毎日少しずつでも読み進めるようにしたところ、1カ月でだいたい4-5冊は読めることがわかりました。

 

朝読書のルール

① 15分(切り悪い時は5分以内であれば延長可)

② 13

③ ジャンルはすべて違うものを選ぶ

 

選書の基準としては自分の専門分野である経済、投資、会計等から1冊、英語・翻訳に関係するものを1冊、その他どの分野でも良いものを1冊、としています。

 

良かった本、自分の趣味に合わなかった本などいろいろありますが、1カ月で読んだ本をご紹介していこうと思います。

ESG投資で激変!2030年会社員の未来」

 

1.ESG投資で激変!2030年会社員の未来」 市川祐子 日経BPマーケティング

 

 最近はIR担当の方がだいぶ増えてきましたが、一昔前は元YAHOOの浜辺真紀子さんか、この著書の楽天の市川さんしか知名度のある方がいらっしゃらなかった気がいたします。その市川さんがESGをわかりやすく説明しようとした書籍。普通の会社員の方の中には「一生懸命ESGを標榜することに何の意義があるのか」という点がいまいち腑に落ちていない方、多いのではないでしょうか?実際、企業経営者とお話する機会があっても、言葉の節々に「やりゃいいんでしょ?」というやっつけ仕事感がちらちら見えており、「社外取締役に外国人女性を入れれば一発クリア!」みたいな発想をお持ちの方がまだ多い印象を受けます。そんな中で、ESGが企業価値向上にrelevantだということをものすごくわかりやすく、かみ砕いて説明しています。正直を言うと、前著(楽天IR戦記)はかなり偏っている印象を受けたので恐る恐る読んでみたわけですが、ESGをわかりやすく説明している本(特にFinancial relevantの観点から)としてはかなり評価できると思います。

  特に株主を船を陸で待つ人たちに例えたのは秀逸です。最近講義等を依頼されることが増えてきて、いかに金融の基礎知識のない人にもわかりやすく伝えられるかが大事だと感じています。その際に、例を挙げるというのは非常に効果的だと改めて実感しました。

  また、巻末にメルカリの小泉さんと関美和さんとのインタビューが載っていますが、これがなかなか面白い。「自分のパーパスは何か?」と改めて考えてみるきっかけになりました。

  内容としてはコーポレート・ガバナンスやESG投資に関する基本知識をさらっているだけなので、新しい知識が増えるというものではありませんが、企業担当者へのESGに関する伝え方の参考になります。IRコンサルに関わる方は参考になるのではないでしょうか。

 

★★★★★

「知的文書術入門」 

2.「知的文書術入門」 黒木登志夫 岩波新書

 

 「知的文章術」という何とも隠微な響きに引かれて読み始めましたが、第2章当たりから「ん?」と思うことが多くなり、よくよく考えて見たらその後の「入門」という文字をすっかり忘れておりました。著者は医者の方で、あまりにもきちんと文章を書けない人がいるのを嘆かわしく思い、この書籍を書かれたのだと思います。たしか以前(2021年2月)にご紹介した「理科系の作文技術」もそんなきっかけで書かれた本でしたね。

  後半は情報の探し方、だとか、プレゼン資料の作り方、だとかが中心になりますが、だったらしっかりハウツー本を書いてくれ!と突っ込みたくなる箇所満載。随所に今井むつみ先生に言及しているので、だったらやっぱり2021年3月にご紹介した「英語独習法」を読めば?という感じです。

  たぶん私は対象読者ではなかったんだろうなぁ。たまにこういうこともあるある、ということで。

 

★★☆☆☆

関連するページのご紹介

こちらのページを読んだ方には、下記のページもよく読まれています。ぜひご一読ください。
 

お問合せはこちら

メールでのお問合せは24時間受け付けております。お気軽にご連絡ください。