運営:有限会社ピィファ・パートナーズ
第33回 Hung deal(ハング・ディール)
イーロン・マスクがTwitter買収に当たって銀行から借り入れた融資の販売に、銀行が苦戦しているというニュースがありました。
本日はその中のhung dealsという言葉を取り上げたいと思います。
Also last year, Barclays was among a group of banks that agreed to fund Elon Musk’s takeover of Twitter Inc., in what became one of the biggest so-called “hung deals” as banks were unable to sell on their debt commitments.
試訳:また昨年、バークレイズはイーロン・マスク氏によるツイッター社買収資金を提供することで合意したシンジケーション団に名を連ねたが、銀行団は投資家にこれらローンを販売できず過去最大級のいわゆる「ハング・ディール」となった。
つまり、引受けしたけれども売れずにそのままディーラー在庫になっている案件、という意味です。
日本語でぴったり該当する言葉はないと思うので「ハング・ディール」として訳出しておりますが、そのままではなんのこっちゃ?になりかねないので、訳注として「銀行が引き受けた後で投資家への売却に苦戦している案件」と記載しております。
この件については、他のファンドマネージャーが日経でもコメントしており、レバレッジド・ローンの引受が昨年から干上がっている状態がわかります。
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN28EKG0Y2A021C2000000/
余談ですが、証券用語では損失を抱えてにっちもさっちもいかなくなった在庫のことを「しこり玉」と言います。しこり玉=因果玉と書くそうです。
ローンの引受の場合、相場観で在庫を抱えるわけではないのでややニュアンスは違いますが、「因果」とは何やらちょっと複雑な気になります。マスク向けローンが因果玉・・・・。
(2023年2月26日)