運営:有限会社ピィファ・パートナーズ
毎朝20分ほど読書の時間を作っています。もともとは1冊の本を読み終わるまで別の本を読まないタイプでしたが、そんなことをしていたら、①読みたい本だけを優先する、②積読が増える、③ジャンルが偏る、という事態に陥ってしまいました。そこで子供たちが学校で行っているように「朝読書の時間」というものを設けて、毎日少しずつでも読み進めるようにしたところ、1カ月でだいたい4-5冊は読めることがわかりました。
朝読書のルール
① 1冊5分(切り悪い時は5分以内であれば延長可)
② 1日3冊
③ ジャンルはすべて違うものを選ぶ
選書の基準としては自分の専門分野である経済、投資、会計等から1冊、英語・翻訳に関係するものを1冊、その他どの分野でも良いものを1冊、としています。
良かった本、自分の趣味に合わなかった本などいろいろありますが、1カ月で読んだ本をご紹介していこうと思います。
1.「教養としての経済学 生き抜く力を養うために」一橋大学経済学部 編 有斐閣
12月に入ったのに10月に読んだ本を紹介している時点で、ハムスターのような私の生活を露呈しているようで恥ずかしいのですが・・・今月はまず、書店でたまたま見つけたこの一冊から。「教養としての経済学」と言う言葉が、教養のない私の心に妙に刺さり、「どれどれ、ちょっと覗いてみよう」と手に取ってみました。一橋大学の若手教授たちが(若手と言っても初版は2013年なので、今ではすっかり重鎮かもしれません)自分の専門分野について学生に語りかけるような感じで平易な言葉で説明しており、1つのパートがぴったり5分で読み終わるというまさに朝読書のために書かれたような本です。
内容は浅くはありませんが、教科書のような感じです。ただ示唆に富む文章も多く、経済に普段あまり接していない人にもとっつきやすい初心者向けの書物としては良い本です。経済学の単位が3(4段階評価)だったという娘の手にこの後渡る予定。
★★★☆☆
2.「英語が読めるの9割は誤読」越前敏弥 著 the Japan times出版
越前先生の誤訳シリーズ最新作。前作は私の愛読書の一冊ですが、年のせいもあり何度読んでも誤読の罠にはまる一人ボケ突っ込みに最適。今回の誤訳シリーズは前回とは若干異なり、文法知識の理解を問うのは第1部のみで、第2部以降は文芸翻訳の難しさを実感させられるものばかり。読み終わった頃には「私には文芸翻訳は無理」という大きなテロップが頭の中に流れるほど。本当に文芸翻訳って難しいんですね・・・。
金融翻訳は金融・投資・ビジネス回りの狭い範囲を深く知っているだけでわりと対応できますが、文芸翻訳には正確な英語読解力に加えて、時代背景や外国の生活様式、歴史などに至る幅広い教養が求められるのだと痛感しました。最近は大学でもデータサイエンス学部など、社会ですぐに役立つ学部や勉強が人気が高い傾向にありますが、教養を身に着ける最後の場所は大学の教養課程でしょう。リベラルアーツの重要さを痛感するとともに、自分の教養のなさを改めて実感した一冊。
★★★★☆
3.「世界標準の経営理論」入山章栄 著 ダイヤモンド社
ほぼ半年にわたってやっと完読。だってこの本、厚さが5センチくらいあるんですよ。思わず斜に構えて本を撮影してしまいました。本書をめくって最初のページに「これは世界で標準となっている経営論を可能な限り網羅・体系的に、そしてわかりやすくまとめて皆さんに紹介する、世界初の書籍である」とあります。へー、経営理論をわかりやすく紹介した本ってなかったんだ?!と言うのが経営というものにあまりかかわってこなかった私の最初の感想です。MBAも経営学も学んだことのない人間には、経営理論を体系的にまとめた本がない事自体知り得ない事実であり、ということは割と役に立つのだろうと勝手に思いこみ、多少厚いけどお値段が手ごろ(2900円、さすがダイヤモンド社)ということもあり購入。
仕事柄マネジメントに関連する文書も訳することがあるため、辞書替わりに使うのには重宝しそうです。とはいえ、「わかりやすく、体系的に、網羅して」ということは、一つ一つを詳しく知りたいときにはさらに別の書物を参照しなければいけないということを念頭に置いておくべきでしょう。
「家庭の医学」ならぬ「世界標準の経営理論」。一家に一冊といったところ。
★★★☆☆