1．「パンチラインの言語学」川添愛　著　朝日新聞出版

　言語学者、川添愛さんの新著。タイトルからして絶対「バーリトードゥ」系だろうと推察したので、最近地域図書館に追加された「LINEで買ってほしい本のリクエスト」機能を使って申請してみました。するとあっという間に図書館が購入してくれたので予約一番、新品本を読むことができました。地方税を払っているかいを感じた瞬間です。ふるさと納税で地方の産物をもらうばかりが税金の使い道ではないなぁとつくづく感じました。

　さて、パンチラインとは、いわゆる名セリフを指すらしいです。名セリフと言われても、どうも著者と指向が違うらしく、取り上げられたパンチラインの半分くらいしか知らなかったわけですが、それはさておき軽い読み物としてはやはりおもしろい。「めざせ、かっちゃん、甲子園」が七五調でゴロが良いとか、末尾につく「よ」を考察してみたりだとか、普段はあまり気にしていない点を掘り下げているところにオタク感がちりばめられています。翻訳などというオタク域の仕事をしている人間には（私のオタク度は、翻訳界隈では低いと思われますが）たまらないんだろうなぁなどと思いながら、あっという間に読み終わってしまいました。

　というわけで、返却しようとしたら、次の予約が8件入っていました。やっぱり世の中にはこの本を求めている人が一定数いるらしい。リクエストして良かった。ちなみに、川添さんの文章は近年、現国入試の頻出課題になっているそうです。なるほど、先生もオタク界隈。

うっかり予約が入っていたので、写真を取るのを忘れて返却してしまったので、ネットから拝借して参りました。

★★★★★

2.　「アクティビストと企業支配権市場」大熊将八　著　金融財政事情研究会

　今年度の株主総会では、株主提案が過去最高に上りました。東証のPBR引上げ要請から3年、投資家による企業へのエンゲージメントはますます強まっています。という中で、Amazonのお勧め本の中からタイトルだけで選んだ本。著者は新進気鋭のIRコンサルタントで、アクティビストの活動が活発化するなかでの日本市場の現状や企業の対策（ケーススタディ）を深掘りしています。

　内容はたしかに詳細で示唆に富むのですが、読ませる文章を書くという意識がない、やさしさに欠けた本。平気で1文が4行以上続く文章が頻出（1行36文字として144文字）するため、内容が頭にすっきり入ってこないのです。頭の良い人は、読む人も自分と同じバックグラウンドと知識を持っていると考えて話を進めがちですが、特に読者が一般人にわたる書籍の場合はその前提は当てはまりません。今月は「パンチラインの言語学」と併読したので、つくづく言葉の伝える力を意識させられました。読んでもらう、理解してもらう、という姿勢は大事です。言葉に携わる末端ピープルとして強く感じました。

こちらの本は、区外の図書館からの相互貸出で届いた本ということで、ご丁寧にさらにビニールカバーがついていました。こういう図書館間での融通は、無駄を省くという意味でとても良いですね。

★★★☆☆