運営:有限会社ピィファ・パートナーズ
私は朝20分ほど読書の時間を作っています。もともとは1冊の本を読み終わるまで別の本を読まないタイプでしたが、そんなことをしていたら、①読みたい本だけを優先する、②積読が増える、③ジャンルが偏る、という事態に陥ってしまいました。そこで子供たちが学校で行っているように「朝読書の時間」というものを設けて、毎日少しずつでも読み進めるようにしたところ、1カ月でだいたい4-5冊は読めることがわかりました。
朝読書のルール
① 1冊5分(切り悪い時は5分以内であれば延長可)
② 1日3冊
③ ジャンルはすべて違うものを選ぶ
選書の基準としては自分の専門分野である経済、投資、会計等から1冊、英語・翻訳に関係するものを1冊、その他どの分野でも良いものを1冊、としています。
良かった本、自分の趣味に合わなかった本などいろいろありますが、1カ月で読んだ本をご紹介していこうと思います。
1, 「エクストリーム・エコノミー」 ハーパー・コリンズ・ジャパン
リチャード・ディヴィス 著 依田光江 訳
FTとマッキンゼーが選ぶ2019年のベスト・ビジネス書にノミネートされた一冊。経済学が長年答えを出せなかった問題や見逃してきた泥臭い人間的な側面を、津波の被害を受けたインドネシアのアチェや難民キャンプ、刑務所などの「極限経済」の中に見いだしています。
人間は極限状態に置かれるとレジリエンスを発揮します。戦後の日本はまさにこうしたエクストリームな状況からの奇跡の復興だったわけです。戦後75年も経って極限状態が解消されたいま日本はどうでしょうか。ここ数年、人が主体的に使命感をもって活動する社会を形成することで、いかにレジリエンスで豊かな経済を作るかということが経済学のテーマとなってきました。おりしも東日本大震災から10年の節目を迎えますが、あのエクストリームな状況を東北や日本はうまく生かすことができたでしょうか。切れの良い訳も推奨。
★★★★★
2.「カンマの女王」 柏書房 メアリ・ノリス 著 有好宏文 訳
The New Yorkerの校正係の著者は、外部の人から見ればどうでもよいと言われそうな細かなことが気になる、突き詰めないと気が済まない・・・。ああ、きっとこういう気質がないと校正者とかできないんだとつくづく実感。読みながら、三浦しをんの「船を編む」を思い出しました。それにしてもコンテクストを共有していない人のエッセイに対して共感を得ることは難しい。皆さんがアップしているので、一緒になって読んでみたものの、「くすり」と笑えるはずの箇所が半分くらいしか理解できない残念な私。訳し切った訳者に敬意。
★★★☆☆
理科系の研究者や学生向けに論文だけでなく、レポート、説明書、手紙の書き方に至るまでさまざまな「作文」の方法を伝える指南書。著者の指摘の通り、日本の学校、特に小学校から中学校では自分の感情を書く文学的な作文の授業は頻繁に行われているが、こういった実務的な授業は行われていません。さらに、高校、大学とレポートなどを書く機会が多くなる高等教育において、こういう指導がなされてこなかったことはある意味驚きです。今どきの子はレポートの書き方とか、割としっかり指導されているとも聞きますが、少なくとも私はこういう授業を高校・大学で受けた記憶がありません(いったい何を教わったのだろうか?)。
最初から最後まで「読む」というより、必要な時に参照する辞書や取説のような感覚で手元に置いておくと便利かも。でもちょっと古い気もしないこともない・・・。
★★★☆☆
4.「1日1話、読めば心が熱くなる 365人の仕事の教科書」 致知出版社 藤尾秀明 著
朝読書用にパラグラフの区切りの良い本を探していた時に手に取った本です。ご丁寧に「3月13日」のようにカレンダー式になっており、どこまで読んだか心配する必要もありません。いろいろな分野の著名人の一言が1ページにまとまって気軽に読めます。ただ、1ページを読むのに5分どころか2分もかからず、読めば心が熱くなるほどには心に響かないところが難点。
★★☆☆☆