今月の本
~毎朝5分*2~3冊をご紹介していきます~

毎朝20分ほど読書の時間を作っています。もともとは1冊の本を読み終わるまで別の本を読まないタイプでしたが、そんなことをしていたら、①読みたい本だけを優先する、②積読が増える、③ジャンルが偏る、という事態に陥ってしまいました。そこで子供たちが学校で行っているように「朝読書の時間」というものを設けて、毎日少しずつでも読み進めるようにしたところ、1カ月でだいたい2-3冊は読めることがわかりました。

 

朝読書のルール

① 15分(切り悪い時は5分以内であれば延長可)

② 1日2-3

③ ジャンルはすべて違うものを選ぶ

 

選書の基準としてはざっくり、自分の専門分野である経済、投資、会計等から1冊、英語・翻訳に関係するものを1冊、その他どの分野でも良いものを1冊、としています。

 

良かった本、自分の趣味に合わなかった本などいろいろありますが、1カ月で読んだ本をご紹介していこうと思います。

イングランド銀行公認 経済がよくわかる10章

 

1.「イングランド銀行公認 経済がよくわかる10章」 イングランド銀行 著 村井章子 訳 すばる舎

 

 この本、実に面白い!大学時代の経済の教科書といえば、マグロ―ヒルのマクロ経済学だとかあの辺が定番でしたが、ちっとも面白くない。需要と供給の曲線とか、そういうことじゃなく、もっと面白い経済学の教科書はないのかと思ったものです。この本はその100歩先を行く面白さ。数式やグラフはありませんが、経済の本質を突いた良本です。イングランド銀行が国民に向けて書いた経済の入門書という位置づけだそうですが、経済を身近なものに感じてもらうためにたくさんの事例を用いていて親近感の湧き方が半端ない。序章を含めて全10章を1日1章ずつ(約20分)、ほんの2週間ほどで一気読みしてしまいました。

 特に第6章のインフレに関する記述と、第10章でふれている量的緩和に関する説明は秀逸。渡辺努先生などもこの辺の説明には長けていますが、これほどわかりやすく金融政策を説明した本はほかにないと思います。なぜ「期待」インフレが大事なのか、なぜ量的緩和という政策に踏み込んだのか、日銀が異次元の緩和策を撤廃したいま改めて整理するのにも大変役立ちます。

 「人に分かりやすく説明できないというのは、自分の理解が足りないということ」としばしば言われますが、頭のいい人は万民への説明も完璧なのですね。驚いたのはイングランド銀行が年に数回市民とのディスカッションの場として市民パネルを設けており、場合によっては総裁も出席することがあるという事実。これぞ究極の中央銀行によるコミュニケーションでしょう。植田総裁もぜひ!村井章子さんの美しい訳とともにぜひご堪能ください。

 

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「フローチャートでわかる英語の冠詞」

2. 「フローチャートでわかる英語の冠詞」 遠田和子 著 研究社

 

 皆さんご存じ日英翻訳者の遠田先生の冠詞の本。最近新しく「英語冠詞ドリル」という演習編を出されたので、改めてこちらの本を読みなおしました。遠田先生の本って何がいいかと言うと、無駄なことがほとんど書いてない圧倒的な読みやすさと使いやすさでしょう。日本語話者と英語話者の考え方の違いは、英語を書いたり読んだりする中でもちょくちょく感じます。特に私のような日本語ネイティブの頭はしょっちゅう混乱します。この冠詞に関しても然りです。

 そもそも日本語にない「冠詞」を理解するというのはなかなか難しい。単数と複数、形がある・ない、といわれても直感的でないからわかりづらい。これをフローチャートにして分類するという方法自体は何度か目にしていますが、実際の英文と直面すると混乱することは割と多いです。結局、「どうしてそうなのか」というのをケースバイケースで腑に落ちるまで繰り返して身につけないといけないからなのでしょう。そういう意味で、続編の演習編を刊行されたのは目の付け所がシャープでしょ。

 日本語には文字だけで意味を表してくれる漢字というものがあるので、叔父さんと伯父さん、兄弟と兄妹など一発で関係性がわかるのは便利ですよね。逆にそれが外国人を混乱させる要因でもあるのかもしれませんが・・・・・・。

 冠詞の学び直しにドリルと併せて活用したい1冊。

 

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