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第17回 High-frequency data(高頻度データ、オルタナティブ・データ)
大半の先進国ではワクチン接種が進み、徐々に経済活動の制限が緩和に向かっているように見えます。すでにイスラエルなどではマスクなしでレストランやコンサートに出かけるなど、コロナ前の生活に戻りつつあるようです。
一方で、東京には3度目の緊急事態宣言が発令されました。ワクチン接種が進まない中では爆発的な感染拡大と医療崩壊を阻止するために人流を止めるという単純施策しかないというのはなんとも情けない限りです。
さて、そんな中で久しぶりに目にしたこのhigh-frequency data。数年前からちらほら見るようになりましたが、コロナ禍で一気に注目が上がってきているようです。
Alternative data suggest global economic activity continued its recovery in March and early April, according to Bloomberg Economics’ gauges that integrate high-frequency data such as credit-card use, travel and location information. Advanced economies and emerging markets have trended up at a similar pace.
通常の経済指標はデータ収集から発表までに時間がかかるため、特に速報性という面で問題がありました。そこでクレジットカードの利用状況、給与支払い状況、夜間の繁華街での人の動きといったこれまでとは異なる代替データ(オルタナティブデータ)の重要性が指摘されるようになりました。
今のところ日経新聞等ではhigh-frequency dataを「高頻度データ」と訳出しております。ただ、「高頻度」というとhigh-frequency trading(高頻度取引)を思い浮かべてしまうこともあり、まだ市民権を得ているとはいえない状況です。
実際の訳出に際しては、状況に応じて「オルタナティブ・データ」や「時系列データ」「非公式な経済指標(データ)」などの方がぴったりくるケースもあると思います。また上述の記事を引用するような形で、「高頻度データ(クレジットカードの利用状況、旅行及び位置情報といったデータ)」のように補足するのも一案です。
(試訳)クレジットカードの利用状況、良好及び位置情報と言った高頻度データを取り入れたBloomberg Economics's gaugeによると、オルタナティブ・データからは、3月から4月上旬にかけて世界の経財活動が引き続き回復の途にあることが見て取れる。
(2021年4月25日)