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第31回 head fake (だまし、フェイント)
ジャクソンホール会議でのパウエル議長の9分間の講演が、市場を揺るがしています。
イエローストーン国立公園などがあるこの地で毎年夏に行われる会合は、もともとは世界中から経済関係の偉い人が、クラフトビールを傾けてハイキングやカヌーなどを楽しみつつ、経済の理論や長期的展望をわいがやする場だったそうです。しかし、8月はFOMCが開催されないこともあり、最近ではここでの発言が市場参加者の少ない夏の相場を動かす一つの材料になっています。
さて、本日の出会った言葉は「head fake」。
最近実際に出会った出典をここでご紹介するわけにはいかないのですが、head fakeはいわゆるバスケとかでいう「フェイント」のこと。
“US equity markets are at a critical tipping point," quant strategist Masanari Takada wrote in a January 10 note.
Gear up for another head fake, warns JPMorgan’s Chaudhry.
少し前の2019年1月の記事ですが、今の状況に本当に確信をもって投資して良いかどうかはわからないという文脈で使用されています。
試訳:
「米国株式市場は重大な転換点を迎えている」とクオンツ・ストラテジストのMasanori Takeda氏は1月10日付のレポートで述べている。
またJPモルガンのChaudhry氏も、もう一度だましが来るのに備えるべきだと警告する。
ここでは「だまし(騙し)」と訳出してみました。相場のチャートでテクニカル指標が買いや売りのシグナルを発したのにも関わらず、想定した方向に進まなかったときに「だまし」と言います。
Many see the current set up as a head fake that will reverse and bite the markets as the Fed continues to fight inflation longer and stronger.
<https://www.hamiltonlane.com/Insight/Weekly-Research-Briefing/The-Big-Slick>
こちらの記事では多くの人が足元の状況をだましだと見ているような書きぶりですが、来年利下げを織り込んでいたFF金利先物などを見ると、だましに騙されているのは相場関係者のような気もします。
夏場に入り相次いでインフレがピークアウトしているように見える指標が発表されつつありますが、これが本当にインフレの低下なのか、それともhead fakeなのか、市場も中央銀行もまだまだ予断を許しません。
(2022年8月29日)