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~翻訳の中で出会った言葉~

第13回 Float(発行、募集、浮動・・・

2021年になっても株高が止まりません。

米国ではその要因の一つにロビンフッダーの存在がささやかれています。

 

情報会社のCBインサイツによると、ミレニアル世代(20~30歳代)のデイトレードへの関心が高まったことを背景に、20年4~6月期のロビンフッドの売上高は前四半期比98%増の1億8000万ドルになったようです。新型コロナの感染拡大以降の新規口座開設は約300万口座に上り、その半数を投資初心者が占めています。

https://www.nikkei.com/article/DGXZQODZ1943N0Z10C21A1000000

 

そしてこのロビンフッドがゴールドマン・サックスをアドバイザーに新規公開(IPO)の準備を進めているようです。本日はこの上場、募集、起債に対して使用される「float」という言葉を取り上げてみたいと思います。

 

floatは金融では多岐にわたり使用されています。

1つ目は上述のように「発行」を表すfloat. 

 

This month, four clinical-stage biotechs based in Europe have said they plan to float on the Nasdaq exchange in New York, including initial public offerings for drug developers Immunocore and Pharvaris, and a secondary listing for France’s Biophytis SA, which focuses on age-related disease therapies.

 

https://www.bloomberg.com/news/articles/2021-01-20/new-york-s-promise-of-high-rewards-reels-in-europe-biotech-ipos>

 

ここで plan to float on the Nasdaq exchangeですので、「ナスダックに上場する計画」となります。Add floatなら「追加発行(募集)」、float a bond issueなら債券ですので「起債」です。float元の意味が「発行する」ですが、その内容や段階(新規かセカンダリーか)によって新規公開、起債、募集、追加発行など訳語を変える必要があります。債券では「ローンチする」などの表現も現場ではよく使われています。

 

一方、

Shareholders, including founder Anton Gauffin, also plan to sell part of their stakes, with the company targeting a free float of more than 25%.

 

https://www.bloomberg.com/news/articles/2021-01-18/huuuge-ipo-helps-cement-poland-s-position-as-hotspot-for-gaming>

 

こちらのfloatは文字通り「浮く」方のfloatで、free floatは「浮動株」になります。

「創業者Anton Gauffinを含む株主も、同社の浮動株比率25%以上に引き上げることを目指して、持ち株の一部を売却する計画である」ということですね。

 

Free float market capitalizationは浮動株調整後時価総額で、発行済み株式数ではなく、絶対に株式を売らない(とみられる)株数を調整して時価総額を算出する方法です。本当は固定株調整後時価総額の方が名称としてはふさわしいような気もしますが、一般的には浮動株調整後時価総額と呼ばれています。

 

さらにはfloating rate「変動金利」とか、 float the yuan 「(人民元の)変動制移行」とか、そういった場面でも目にすることが多い単語です。訳出の場合は前後関係をよくみて適語を探してくださいね。

 

 

 

2021122日)

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