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第27回 Belly (膨らんだ部分、パー近辺のクーポン)とwing
明けましておめでとうございます。今年もよろしくお願い申し上げます。
しばらくこちらのページの更新が止まっておりました。気になる言葉がなかったのではなく、あまりにわからなくて調べるのに時間がかかったというだけのこと。それがきょうの言葉、Belly とWingです。初めに申し上げておくと、今日の言葉は債券用語なのであまり関係ないわとおっしゃる方はスルーを。
今回手こずったのは「wing」の方です。
Bellyは債券イールドカーブの説明では割とよく見る表現で、文字通り「腹」のように膨らんでいる部分を指します。順イールドの場合はカーブが右肩上がりなので、例えば中期ゾーンが売られたりするとそのカーブの真ん中の部分が盛り上がります。これを「腹」と言うわけです。では日本語の訳としてはどうするかですが、「イールドカーブの膨らんだゾーン」とか、具体的にカーブの形状が盛り上がっている年限を指して「イールドカーブのXXX年限ゾーン」とかいう訳を当てていることが多いのが現状です。さすがに「腹」はどうよ?というのが私の美意識ではあります。
For our clients, we are pretty comfortable in what is called the ‘belly’ of the yield curve, which is around a five year duration.
<https://acrinv.com/inside-the-belly-of-the-yield-curve/>
こちらの文章はある資産運用会社のウェブサイトから拝借してきましたが、「当社の顧客には、“イールドカーブの膨らんだ部分”と呼ばれる、デュレーションが5年ゾーンへの投資を推奨する」(試訳)と言っています。
さて、問題はwingの方。こちらも債券、それもMBSの話の中で「wing coupon」という表現で出てきました。
うぃんぐくーぽん???金融翻訳といっても為替からNFTからオルタナティブまで幅広く、証券化商品はあまり得意じゃないんですよね。本当にどうしようかと思ったらこんなページを見つけました。
belly / wing - refers to the different portions of the "stack" (the range of different MBS coupons within a certain coupon type. If a coupon type is a FNMA 30 year fixed, then the range of coupons could be from 4.5-8.0. The "belly" refers to the two or three coupons that are trading closest to PAR (price of 100-00). So since the 6.0 is currently at PAR (ish), and neither the 6.5 or the 5.5 are more than 3 points away, this would be the belly. The wings would be all other coupons.
<https://www.mortgagenewsdaily.com/markets/mbs-abbreviations>
後半のアンダーラインの箇所を読むと、「パー(価格が100)に最も近い2~3のクーポンを”Belly”と呼ぶ。したがって、現在クーポンが6.0%の債券がパーで取引されており、6.5%も5.5%も3ポイント以上離れていないのでこれが”belly”となる。それ以外のクーポンはすべて”wing"となる」とあります。
つまりこれ、イールドカーブと同じようにクーポンをプロットした時に描けるグラフの形状を指しているわけです。パー近辺のクーポンが「腹(中心)」でそれ以外は両脇(上記の例の場合4.5%と8.0%が対極)に翼を広げるような形になる、っていうことなんですよね。
結局wing couponは「それ以外のクーポン」と訳してしましたが、第26回のhokey stickと同じく言葉ってイメージが大事なのだとつくづく思いました。Belly と wingにもっと良い訳をご存じの方はご連絡をお待ちしております。
本日は超オタクの用語ですいません。
(2022年1月14日)