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第29回 Depeg(連動が外れる、連動しなくなる)
年初からいろいろな市場が大きく変動していますが、ここにきて暗号資産の価格が急落しています。
特に法定通貨の裏付けがあることを売りにしていたステーブルコインのご凋落が激しいです。
先週は、テラUSDが急落し、米ドルとの連動を維持してきたテザーも下落しました。
そこで今回は、この連動が外れることを意味するdepegを取り上げます。
国内外問わず、言葉は時代やその時の情勢と共に変わったり、新しい言葉ができたりするものですが、pegが「連動する」なら、de+pegはもちろんその反対で「連動しなくなる、連動が外れる」を意味するわけです。いちいち
The largest stablecoin, Tether, has broken its peg to the dollar.
と言わなくても
Tether has depegged to the dollar.
で済むわけです。文字数カット!省エネ。ということで、ウェブサイトを見ていてもよく使われているようです。
Another coin called Fantom USD has also depegged from the dollar and is currently trading around 83 cents. Scream also had Fantom USD’s listed at $1 despite its depegging — though that’s changing — letting people play the same trick in a separate currency.
ペッグ自体は「ドルペッグ制」のように昔からある用語ですが、デペッグと日本語でも普通に使われたのはやはり今回の暗号資産の急落によるものかと思われます。
このパターンで言えば、Divestment=投資の売却もESG投資の高まりとともに、日本語でも普通に「ダイベストメント」で通用するようになりました。ダイベストメントについては、今でもリテール向けには訳注をつけていますが、そろそろ市民権を得てきたかもしれません。
一方、deglobalizationやdecarbonizationは単語の長さもあってか、カタカナで日本語として使われる機運はありません。
暗号資産についてはFRBも規制に乗り出すようですし、「デペッグ」は一気に今年の流行語大賞となるか!いや、その時は相当まずいということでもありますよね・・・・。
(2022年5月19日)