今月の本
~毎朝5分*2~3冊をご紹介していきます~

毎朝20分ほど読書の時間を作っています。もともとは1冊の本を読み終わるまで別の本を読まないタイプでしたが、そんなことをしていたら、①読みたい本だけを優先する、②積読が増える、③ジャンルが偏る、という事態に陥ってしまいました。そこで子供たちが学校で行っているように「朝読書の時間」というものを設けて、毎日少しずつでも読み進めるようにしたところ、1カ月でだいたい2-3冊は読めることがわかりました。

 

朝読書のルール

① 15分(切り悪い時は5分以内であれば延長可)

② 1日2-3

③ ジャンルはすべて違うものを選ぶ

 

選書の基準としてはざっくり、自分の専門分野である経済、投資、会計等から1冊、英語・翻訳に関係するものを1冊、その他どの分野でも良いものを1冊、としています。

 

良かった本、自分の趣味に合わなかった本などいろいろありますが、1カ月で読んだ本をご紹介していこうと思います。

「コンサル1年目が学ぶこと」

 

1. 「コンサル1年目が学ぶこと」大石哲之 ディスカバー・トゥエンティワン

 

 代官山の蔦屋書店に平積みになっていた本。ぱらぱらと立ち読みしてみると割と実践的なことが書いてあるため即購入。新卒で外資系証券会社に就職し、体系的な新人教育はあまり受けていなかったので、コンサル1年目の人がどんな教育を受けているのか興味津々。いまから1年目の新人に戻ることはできませんが、エッセンスは学ぶことができます。

 中でも「08 相手の期待値を把握する」には、なるほどその通りとうなづくばかり。ビジネスをするうえで一番大事なことの一つに期待値を超え続けることが挙げられます。いわゆる「さすが〇〇だね」というやつですね。そうなると必要以上に期待値を「上げてしまう」ことは避けた方が良いことになります。最近、自分の比較優位性のない仕事を頼まれることがありますが、その際に安請け合いしないことが重要だと思っています。できるかぎり自分がその分野の専門ではないことを伝え、それでもいいかと確認をしますが、人間というのは相手から合意をされたらその前提を忘れがちです。結果、こちらは事前に伝えているにもかかわらず、相手には期待外れなパフォーマンスと映りがちです。

 社会人であればある程度知ってるよという内容かもしれませんが、仕事の仕方を整理整頓するうえでも役立つ本。これから社会人になる人も、ずいぶん前に社会人になった人も、一度おさらいという意味でも確認しておきたい。

 

★★★★★

 

 

 

「日本製鉄の転生 巨艦はいかに蘇ったか」

2. 「日本製鉄の転生 巨艦はいかに蘇ったか」

上阪 欣史 著 日経BP

 

 今月18日に日本会議通訳者協会様主催の日本通訳フォーラム2024で「投資家目線の企業分析」シリーズの講義を行います。今回は日本製鉄を取り上げる予定です。そのためざーっと日本製鉄のおさらいをしようと思って購入。折しもこちらの本、ビジネス書としては異例のベストセラーとなっているようです。

 いまさらご説明するまでもなく、日本製鉄は八幡製鉄所に起源を持つ日本の産業革命を担った基幹企業です。住友金属との合併を経て今も日本を代表する企業の1つですが、2020年度決算では過去最大の4300億円の赤字に転落しています。その後V字回復を果たし、最高益を計上するまで回復します。その過程で、業界全体の構造に加えて、サプライヤーとしての日本の鉄鋼会社と顧客との関係など、さまざまな問題に対応していく異端児の社長が進めた改革についてドラマチックに書かれています。いわばプロフェッショナルの書籍版ですね。皆さん大好物。

 昨今東証が、PBRの引き上げを企業に要請しています。短期的には増配や自社株買いで対応できるかもしれませんが、持続的な価値向上には日本製鉄のような抜本的な構造改革が必要不可欠です。巨大企業であればあるほど構造改革が難しい。その辺りは読み物としておもしろいです。ただし、後半はそれこそNHKプロフェッショナル色が強くなってしまうのが難点。ビジネス書なのかノンフィクションなのか微妙。

 

★★★★☆

 

「26歳の自分に受けさせたいお金の講義」

3.「26歳の自分に受けさせたいお金の講義」 安江一勢 著 すばる舎

 

 岸田首相が標榜した資産運用立国日本。それには貯蓄の約6割を占める銀行預金から運用へのシフトが欠かせませんが、「お金のことを話すなんて・・・」と眉をひそめてきた(ひそめられてきた)日本人にいきなりそれは難しい。ということで、4月に金融リタラシー向上のための新組織、金融教育推進機構(J-FLEC)が誕生しました。それに伴い、これまでも日本証券業界のインストラクターを務めていましたが、私もJ-FLEC認定アドバイザーとなりました。

 今後は今まで以上に講習やアドバイザーとして活動する機会が増えることを見越し、最近は個人向けのマネー関連の本を読んでいます。その一環で手に取った本。

 一言にお金といっても、ライフプランニングから運用、社会保険、税金、相続までさまざま。私の専門分野は投資、運用なのですが、それでも90分の授業では伝えなければならない(伝えてくれと言われている)ことが盛りだくさん過ぎて(PPTで50ページ以上)時間が足りなくなります。

 こちらの本は本当にお金に無頓着な若者に対して、お金って大事よという初めの一歩としての位置づけとして書かれたものなので、正直詳しいことはほとんど書かれていません。全方位的にお金のことを簡単に語ろうとするとこの程度になるのは仕方ないとは思いますが。せめて26歳までにここに書かれている程度のことは知って社会人になってほしい。

 

 

★★☆☆☆

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